カルテ12 ページ13
「(キラキラ」
「」←
敦はひたすら目を輝かせるシロに見蕩れていた。
可愛すぎて先刻の口付けで抑えていた何かが爆発しそうだった。
あれから夕飯を作り器によそってテーブルに並べた。今回は白米と味噌汁、肉じゃが。
最初は普通の小さな粒が時間が経つとふっくらとして光沢を放つ事に最も驚いたシロは、新しい玩具を見つけた子供の様に目を輝かせる。
今まで嗅いだ事の無い新鮮な薫り。口にしてみたいと云う欲求が何故か唆(そそ)られる。
「シロ、そんなに見てないで食べよう?」
「食べる…?」
「ほら、之使って。」
恐らく箸の使い方を知らないであろうシロの為に敦はフォークを渡す。其れはフォークの様に先端が尖っているが真ん中はスプーンの様に丸くなっている仕組み。
シロが何とかフォークの柄を握ると、
「いただきます。…ほら、シロも。」
「いっ、いただきま、す。」
挨拶をして夕飯に手を伸ばす。
目の前の未知な物体に戸惑うシロに、先ずは味噌汁を勧めると、
「…!お水と同じ感じがするのに、美味しい!
お水と味が違う!!」
「気に入った?」
「うん!!之美味しいっ!」
「実はね、之は味噌汁と云って水も使われているんだよ?」
「そうなの!?」
無機質な味しか知らなかったシロにとって、初めて別の味を知る事は緊張と嬉しさが混じるものだった。
こんなに味があるのにお水が使われてるなんて…
シロの興味は白米に向けられる。
「ほら、先刻渡したフォーク、使ってご覧。」
「うー………?」
覚束無い手さばきで何とかご飯を救い、口に入れる。
「っ、ゴホッ、けほっ…………」
「わぁっ、シロ!之は其の儘飲んじゃダメ!ちゃんと噛んで!!」
「あう………モグモグ…………」
白米も味噌汁同様飲み込めると思いきや固体だったので吃驚(ビックリ)していたシロは、歯を上下に動かしてご飯を味わう。
「!之も美味しい!!フワフワ、なのかな、お水と感触が違う!」
「其の感触は、もちもちって云うんだよ?」
「もちもち!もちもちしてるッ!!」
新しく知った感触に更に顔を綻ばせる。
「っぐ…………………う、ぇぇ……」
「シロ!?矢っ張り急に食べさせすぎたのかな!?」
悶えるシロの背中を摩りながら、ベットに寝かせる。
「ごめ、あっくん…」
「ううん。きっと急だったから胃が吃驚しちゃったんだよ。…明日になったらもっと食べさせて上げるから。」
「ん…」
敦の言葉を聞いたシロは眠った。
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No.0 - 42話の敦くんの一人称が俺になっています。何か意図があって俺にしていたなら、すみません! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f53043040e (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - おもしろいです。続編希望です (2017年7月20日 5時) (レス) id: 84b7979bce (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんな遅くですが読んでて凄く楽しかったです!続編希望です!! (2017年3月19日 19時) (レス) id: bacc85789b (このIDを非表示/違反報告)
赤月 - 完結おめでとうございます!続編希望です! (2016年10月31日 16時) (レス) id: 196406772c (このIDを非表示/違反報告)
赤喰 - 完結おめでとうございます!続編作って欲しいです!! (2016年9月26日 23時) (レス) id: 63178f43ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十一葉(といちば)さん | 作成日時:2016年8月9日 17時