朱雀姫血風録 -色渡橋-【高杉晋助】 (ページ45)

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あれから数日が経ち、腕の傷も随分と治ってきた。

私はあいも変わらず来た時から変わらない寝台の上にいた。

変わったことといえばまた子さんが出会った頃よりも口数が増えたことぐらい。

敵かもしれない、そんな私に最初こそ警戒していたものの今となっては警戒しているフリをしながら随分と信用してくれている。

『はやく、思い出せないかなあ…』

ま「記憶、やっぱり取り戻したいんスか？」

『うん、だってずっと空っぽのままだから、』

ま「でも『虚しいじゃないですか。』」

『知らない方が楽なのかもしれなくても、そこに恐怖が積もっていても、自分のことをちゃんと受け入れないと、弱い私には何も残らないんです。』

ま「Aはそれだけ充分強いッスよ！！」

『いいえ、私は朧げで、ひどく脆いですから。』

ま「それでも、もっと自分を認めて、自信を持ってほしいんスよ」

『また子さん、私、敵かもしれない人間だよ？』

ま「Aの目に覚悟が見えたから言ってるんスよ、だから少しだけ、信用もしてんスよ」

『ふふ、そっか、今日あたりにでも、終わらせてもらおうかって思ってるんです』

そっと優しくまた子さんは微笑む。

『どれだけ辛くても、折れたりしないって約束する。』

首が折れちゃうよ、ってくらい大きく頷くまた子さん、いや、また子ちゃんが結構好きだなあ

隻眼の君、私の覚悟は届きますか__________