すきなものの食べかた【宮治】

すきなものの食べかた：10 ページ10

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朝の侑のあの言葉、どういう意味だったんだろう。

めちゃくちゃ気になる、ってわけでもないけど、
その言葉が何となく朝からひっかかっていてた。



【あいつには俺と同じ血が流れとるんやで】



当たり前じゃないか、
侑は治と兄弟で、双子なんだから。

あんな意味ありげな顔で言われたから、余計にだ。

アホなくせに、たまに意味深なことを
いうところがあいつのまた怖いところだ。



『 …あ、明日提出のプリント、ロッカーの中や 』



昇降口まできて、ふと思い出した。

明日提出、となると面倒でも
取りに行かざるを得ない。
教科担が口うるさいし。



「 うげ、まじ？
めんどいから先帰っとってもいい？ 」



友よ、冷たすぎる。

いくら中学からの仲でもそこは
教室までついてこなくてもいいから
せめてここで待っててほしい。


しぶしぶ、了承して、
教室がある3階までひとり階段を
のぼって教室まで行き、プリントを取りに行った。



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プリントも取りに戻ったし、
ひとりで寂しく帰るかと昇降口で
ノロノロ靴を履き替えた。


学校を出る前に、
体育館の近くを必ず通るようになっている。
昇降口から結構近い位置にあるのだ。



『 …… 』



体育館から聞こえてくる、
部員たちの熱心な声や、シューズのスキール音、
ボールが跳ねる音に、思わず足が止まった。


いつも帰るときに通る場所だし、
今まで全然意識したことなんてなかったけど、
なんとなく、

そうか、治も今部活してるのか、
なんて考えが頭をよぎった。


バレーをする治は一体どんな感じなんだろう、

一度興味が湧いてしまったら
気になって仕方がない、足取りは自然と
体育館の方に向かっていた。




体育館の後ろのドアが開いていて、
そこからこっそり身を覗かせてみた。

あれ、なんで私こんなことしてるんだろう、
彼女とかでもないのになんかキモくないか？

いやでもバレー部、練習試合のときとか
宮兄弟のファンとかでギャラリー多いって
聞くし。そうだ、私はあくまでギャラリー。


それに治のバレーしてる姿、
ちょっと見たいしな、絶対かっこいいよね。


そうだ、誰かにバレる前に少しだけ
治がバレーしてるとこ見たら退散すればいいんだ、
そうすれば大丈夫だ。


目を凝らしてたくさんの人の中から
治を探しだそうとするけど、なかなか見つからない

みんなでかいなあ、治も背高いけど。




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