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「あの、先輩がた。」
「どうかしたか?」
「何したんですか。」

 誰にとも、何をともいわないが、きっと彼等には伝わるだろう。一切表情の動かない古橋さんの真っ直ぐな視線を見返す。相手チームの言外に責め立てるような口ぶり。態度が妙であるのに気づいたのであれば、本人たちから直接問いただすのが早い。ここで推測で物を語るのはナンセンスだと、わたしはそう判断したのだ。

「ああなるほどね、なんか言われたんだ?」
「はい、知らないふりはさせないぞって言われました。」
「え、お前それなんて答えたんだよ。」
「本当に知らないので熱くなられても困りますと。」
「マジ?ウケる。あっちの人怒ってなかった?」
「怒ってましたね……なので聞きに来たんです。何をしたんですか?」

 ややはぐらかされそうな雰囲気にもう一度強く問いかければ、彼らは答えづらそうに肩を(すく)めて視線を見合わせ、花宮さんへと無言の要求を送る。否定しないということに正直驚いたのはここだけの話。当然言いたいことは募っていくが、わたしも黙って先輩へと視線を送った。
 そして、花宮さんは口を開き、

「なあんにも?俺たちは何かした覚えは無いから、向こうの言いがかりだよ。」

 実に綺麗に_しかしその笑みはこの場を立ち去れと危険信号を発してしまうほど冷酷であった_笑ったのである。
 ごくり。緊張か、恐怖か、喉が鳴った。反論など許されない。霧崎第一は何もしていない、それが全てだ、と彼の目が雄弁に語る。ならばわたしはその答えに頷く他なかった。
 もっとも彼の言葉を疑ってなどいないのだが、そこはご愛嬌(あいきょう)というやつである。

「そうなんですか。」
「うん、ああなんか言いたいことでもある?」
「無いです。」

 何もしていない、と彼らがいうのであれば何もしていないのだ。今のところは。例えば幾ら疑ったところでそれはあくまでも憶測の域を超えない。

「お、おう…何て言うか、自分のことだけどよ、よくお前も信じるな…。」
「本当に、とも聞かなかったな。流石にストレートに信じるとは思わなかったが。」
「あーほら、噂ってどこからでも湧いて出ますし。」

 だから、もし『霧崎第一に関するなにか』の事実を確かめるとするならば、方法は二択しかない。
 一つは本人たちの自白。

「まあそもそも見てりゃ分かるんじゃねえの?俺たちがなんにもしてないってさ。」

 そしてもう一つは、実際に彼らの試合を見ることだ。

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えすこ。(プロフ) - 悠。さん» (1年以上返信できずにすみません。)ありがとうございました。勢いで書き上げたような作品でしたが、楽しんで頂けていたら幸いです。 (2021年1月14日 0時) (レス) id: 8ffa707d4f (このIDを非表示/違反報告)
悠。(プロフ) - すごく面白くて1日で全部読んじゃいました。 (2019年10月15日 19時) (レス) id: 3af2e99db8 (このIDを非表示/違反報告)
えすこ。(プロフ) - さっこさん» 有難うございます。自分のやりたいように書いてきたので、楽しんで頂けたのなら幸いです! (2019年3月30日 10時) (レス) id: f79f31091d (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - お疲れさまでした!主ちゃんがどんな台詞を返すのか...毎度ドキドキハラハラ、楽しませていただきました! (2019年3月29日 12時) (レス) id: 7b42043074 (このIDを非表示/違反報告)
えすこ。(プロフ) - 白浪美鎖@更新遅さん» カッコいいと思って頂けたのなら幸いです。無事完結まで漕ぎ着けられたのも白浪美鎖さんの応援あってこそです。お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2019年3月22日 0時) (レス) id: f79f31091d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えすこ。 | 作成日時:2016年12月31日 22時

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