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「すみませんでした、本当にごめんなさい!!」

 そして、衝撃の訂正を経て10分以上過ぎた今。わたしはまだ謝り続けていた。いや、普通に間違えただけならまだしも、死魚って。いや死魚ってお前。何がぴったりだと思うけど…なのだ、過去のわたしを助走付で殴り飛ばしてやりたい。何故気づかなかった。もしも目に関してコンプレックスを抱いていたとすれば、その罪は倍重いことになる。ああ、神よ。

「…そこまで謝らずとも良いんだが。」
「超謝んじゃん、えらすぎ。」
「いやお前はもっと謝る事を覚えような?」
「ザキの癖に生意気。」
「俺の癖にってなんだよ!」
「ザキはザキだっつーの。」

 騒がしい外野を余所に、頭を下げ____しかし表情の変わらないし、古橋さんに対し、ついにわたしは恥を捨てることを選んだ。体全部を使って謝罪の意を示す。つまり、ジャパニーズ式DOGEZA、である。どちらかというと土下寝だと思うけど。
 わたしの謝罪と同時に頭上から聞こえるのはギョッとした声半分と、大爆笑半分。古橋さんが引いてないことを願うばかりだが、笑う顔も想像できないのでおそらく引いているのだろう。

「いやだからさすがにそこまでして謝る必要はないんだが。」
「いやでもこの間違いは重くありませんか、罪深くないですか。土下座土下寝じゃダメですか?有罪ですか?死にます?」
「飛躍しすぎだろ!?」

 実際それほどの罪を犯した自覚はあるのだ。ここで古橋さんがそうしてくれないか、と死んだ目で言うのならば一考の余地はある。実行すると確証できないのは許してもらいたい。

「ふは、そこまでやるのかよ。」
「ええまあ、自業自得というかあほ丸出しというか申し訳なさすぎてこれしか思い浮かばないというか。」
「へえ…、なら1つ提案がある。」
「ハイ、何でしょう。」

 まさかマネにとでも言われてしまったらわたしはこの場で入部である。そういえば面接の合否きいてないのだけれど、結局わたしはどういう処遇になるのだろうか。あれで面接と言うのかはわからないが。

「古橋。」
「なんだ、花宮。」
「お前に何か案がないならこれを頼んどけ。」
「何を…ああ、なるほど。それでいかせてもらう。」
「助かるよ。」

 こそり、小声でわずかに聞こえる会話が背筋の凍る思いでしかない。振り向いた古橋さんの瞳に落ち着かなく体を揺らしつつ対処を待った。さあ、何がくるのだろう。



「____真嶋、今度の練習試合を見に来てもらえないだろうか。」

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えすこ。(プロフ) - 悠。さん» (1年以上返信できずにすみません。)ありがとうございました。勢いで書き上げたような作品でしたが、楽しんで頂けていたら幸いです。 (2021年1月14日 0時) (レス) id: 8ffa707d4f (このIDを非表示/違反報告)
悠。(プロフ) - すごく面白くて1日で全部読んじゃいました。 (2019年10月15日 19時) (レス) id: 3af2e99db8 (このIDを非表示/違反報告)
えすこ。(プロフ) - さっこさん» 有難うございます。自分のやりたいように書いてきたので、楽しんで頂けたのなら幸いです! (2019年3月30日 10時) (レス) id: f79f31091d (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - お疲れさまでした!主ちゃんがどんな台詞を返すのか...毎度ドキドキハラハラ、楽しませていただきました! (2019年3月29日 12時) (レス) id: 7b42043074 (このIDを非表示/違反報告)
えすこ。(プロフ) - 白浪美鎖@更新遅さん» カッコいいと思って頂けたのなら幸いです。無事完結まで漕ぎ着けられたのも白浪美鎖さんの応援あってこそです。お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2019年3月22日 0時) (レス) id: f79f31091d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えすこ。 | 作成日時:2016年12月31日 22時

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