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｢簡単だ。ただそれをしたのは、お前で三人目だ｣
｢僕で三人･･･｣
｢ジンの奴は絶対に言わない｣
ジンが言っている姿は想像する事が出来ない。ベルモットも言わなそうで、キャンティやコルン、この組織の連中は全員が言わないであろう言葉だった
｢それで、急用だったのか？｣
｢え？ああ、一応ですけどね。ジンがお呼びですよ｣
ジンが呼んでいた事を伝えると彼は表情を暗くした
｢なぁ、バーボン｣
｢何でしょう？｣
訊くと彼は首を横に振った。そして、ベッドから立ち上がった彼は僕の前を通り過ぎる
｢僕が死んでも、お前は僕の友達だからな｣
｢縁起でも無い事を言わないでください｣
｢ははっそうだな。バーボン、外に出てくれ｣
言われた通りに外に出る。カーディナルも同じように外に出た
｢じゃあ、僕はジンの所に行ってくる｣
｢分かりました。また｣
｢また今度｣
彼は明日とは言わず、そう言った。それに違和感を覚えたが、特に気にも留めずにカーディナルの後ろ姿を見送った
それから数日後、宮野 明美が組織の手によって命を奪われた。妹であるシェリーも組織に反抗して、ガス室に押し込まれた。その後、シェリーは姿を消した
｢ベルモット、カーディナルはどこに？｣
シェリーが姿を消す前から、カーディナルの姿が見られなかった為、知ってそうなベルモットに声を掛けた
｢カーディナル？あの子なら拷問部屋よ｣
｢･･･拷問部屋？｣
｢ええ。今はジンが鍵を持ってるから、入れないと思うけどね｣
｢どうして、そんな所に･･･｣
｢あの子はね、シェリー達と仲が良かったから｣
それだけで彼がジンの主導で拷問を受けている事が分かった。彼女達と仲が良かったカーディナルは組織を裏切る可能性がある。その可能性を潰す為に彼はまた拷問を受けている
気が付けば、拷問部屋に走っていた。拷問部屋にはマジックミラーがあり、そこから彼の姿が見られるはずだ
｢カーディナル･･･｣
マジックミラー越しに彼の姿を見る事は出来た。彼は椅子に縛り付けられていて、意識を失っているのか、頭を垂らしていた
｢ジン。カーディナルはいつあそこから出れますか？｣
｢さぁな。あの方の許可が下りるまでは、精々可愛がってやるさ｣
ジンに直談判したところで無駄だった。結局のところ、毎日彼の様子をマジックミラー越しに見る事しか出来なかった
この組織にいる僕は無力だ
また数日が経ったある日、いつものように彼のいる場所に向かって中を見ると、そこに彼はいなかった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2021年12月12日 0時
