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第6話 小湊亮介2 ページ8

亮介先輩にやり方を教わって、今はティー出しをしている。

元から運動神経良いし、ノーコンではないので「それなりにうまい」と言われ上機嫌である。

夜にこんだけ練習して明日に響かねぇのかよ、と思ったので勝手にペースを変えたのは秘密。

バレなかったらセーフである。

何が良いのかは分からないが、とりあえず亮介先輩のバッティングフォームを確認していた。

本当に「自分何やってんだろ」と思うぐらい同じフォーム。

ある意味凄い。

「あ、そういえば明日練習試合でしたっけ?」

「そうだけど」

「そろそろ切り上げますか?」

「なんで?」

なんで、って言われても。

言われても。

明日は市大二か三高辺りの高校と試合だったはず。

強豪っぽかった気がする。

「練習なんだから、万全じゃなくてもいいでしょ」

「そんなんだから野球楽しめないんですよ」

「別に全然楽しめてないわけじゃないよ」

ボールを打つ手を休めることなく、亮介先輩は言った。

「お前が出すボール打つのは、楽しいよ」

「それは光栄ですね」

違う。

そういう答えがほしいんじゃない。

私は、ただの亮介先輩のファンじゃない。

そんな冗談はいらないよ。

そういう意味を込めて、少しボールの出し方を変えた。

それでもちゃんと打つ辺り、さすがだと思った。

「やっぱりあと5分で止めましょう」

「なんで?あと20分はあるよ」

「だとしても、明日の練習試合は私見に行けないので亮介先輩が調子悪くても、責任取れないからダメです」

「…調子悪くなったりしない」

唐突に拗ね始めた先輩に困惑を隠せない。

隠してるけど。

この人野球バカかよ、なんて思いながら「嘘つけ」と言った。

「私、ここに結構来るし記憶力は良い方なんですよ。1年前のこの時期、先輩足捻ったでしょ」

そう言われてようやく、亮介先輩の手が止まった。

私が放り投げたボールは、バットに当たることなく地面に落ちる。

「なんでそれ、知ってんの」

「さぁ、なんででしょうね」

「部員にも、監督にも、高島先生にもバレなかった」

「私にとってはバレバレでしたけど」

「倉持にも、春市にも」

「倉持先輩と組んでないし春市君いませんよね」

「なんで分かったの」

「誰が言いますか、そんなこと」

先輩、直してもし次にやったときまた隠すでしょう。

1番大きい声でボール要求してたの、私知ってるんですよ。

これでも選手のことぐらい、考えてるんだよ。

「ボール、出しますよ」

第7話 沢村栄純→←第5話 倉持洋一



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琥珀ねっと。 - あーちゃんさん» ありがとうございます!更新が遅いですが、気長にお付き合いいただけると嬉しいです。応援ありがとうございます。 (2019年4月13日 21時) (レス) id: a1b104d49d (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - すごく面白いです!展開が楽しみ!!これからも頑張ってください!(*^^*) (2019年4月13日 13時) (レス) id: 8c4679311b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀ねっと。 | 作成日時:2019年4月5日 5時

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