８９話 逃げはしないよ [大野] ページ15
横に並んで花火してる時から
もうずっと思ってた。
俺は本当に翔くんが大事なんだなって、改めて思ったんだよ。
だって、おんなじだったんだ。
急に思い出したんだよ…自分のこと。
家で弟と二人で花火してる光景が
頭にふっと浮かんだの。
俺よりも頭がよくってね、愛想もよくってね…
でも俺より先に、死んじゃった。
翔くんを初めて見たとき、俺はもしかしたら
アイツのことを自然と思ったのかもね。
顔は少しも似てないけどさ
俺がなんか変なこと言うとね、こうやって目を丸くすんだ。
こっちを振り向いた翔くんは
一週間前に見たあの表情とおんなじ。
「…翔くんまた目…こんなだぞ」
もっかい真似して見せながら
くっそ…ダメだ
涙が止まんねえ……
翔「もう、泣かないでよ…(笑)」
「だって…。ニノも、相葉ちゃんも松潤もね…みんな大好きなんだよ…」
翔「うん。ありがとう…」
「ほんとに行くの…」
翔「行きたいんだよ。どうしても、今」
ゆっくりと言葉を置くように言った翔くん。
なのに、一度俯いてまたパッと顔を上げたら
おっきな目ん中を涙でいっぱいにしてた。
翔「嘘かも。…ほんとはすっげえ、やだ。……智くん、俺さ……」
〈死にたくないよ〉
天井と壁の境が曖昧な
白い病室のベッドの上で弟が笑った。
俺は、「俺が変わってやれればなぁ」なんて、無責任なこと言って。
優しさのつもりだったけど
すげえ、怒られたっけな。
翔くんのそばまで歩いて行ってそっとお腹に触れた。
「おいらやっぱ…最後までいるよ」
翔「…」
「翔くんが死ぬとこ、ちゃんと見届けなきゃ。だって俺……死神だもん」
あのときは逃げたんだ。
容態が急変した弟のそばを飛び出して
出来るだけ遠くまで夢中で走った。
あとで母ちゃんに聞いたんだよ。
俺に変わってもらわなくてよかったって…最後に言ったんだって。
「…行こっか」
翔「…最後まで…お世話になるね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかり - ぜひ見させていただきます！！ (2015年8月9日 21時) (
レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - あかりさん» そう言っていただけると本当に嬉しいです！よければ他の作品もよろしくお願いします。 (2015年8月9日 20時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - とてもおもしろかったです！完結おめでとうございます((o(*>ω<*)o)) (2015年8月5日 21時) (レス) id: 1ac7fc90e9 (このIDを非表示/違反報告)
ふみちゃん(プロフ) - 花夜さん» 花夜さん、ありがとうございます。今後の励みになります♪ (2015年7月30日 22時) (レス) id: f36ed0f5f4 (このIDを非表示/違反報告)
花夜 - 凄く面白いです!!! (2015年7月27日 15時) (レス) id: 7e159a367e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふみちゃん | 作成日時：2015年5月20日 17時
