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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ9

放心状態で村に帰ったノルカとソルカを迎える者は誰ひとりとして居なかった。
ほんの数週間程前まで、月都でのお務めを終え帰ってきた親子を暖かく迎えていた村人達の目は、軽蔑の色を冷たく放つだけだった。
事件の前日まで、あれ程二人を気にかけていた村長夫婦ですら、二人と目を合わせる事なく。
そそくさと、家の中へ入ってはバタンと扉を閉める。
ノルカとソルカにとって、それは拒絶の音に聞こえた。


「ノルカ」

「……」

「顔。冷やさないと……腫れるよ」

「うるせぇ。ほっとけっしょ」

家の中は、親衛隊が荒らしたままの状態だ。
荒廃したその室内で、蝋燭一本の灯りだけが揺らぐ。

これからどうして良いのか……。二人は途方に暮れるばかりだった。
自分達は余りに非力だ。非力故に、何をしても。何を主張しても。それはすべて無へと変換され誰にも届く事は無い。

優しかった父はもういない。偉大で輝いた存在だった父は……もういない。

もう、いっそのこと。死んでしまった方が楽なのかもしれない。


あれだけの惨状を見せつけられ、憧れに突き放され。ノルカとソルカには、絶望しか残っていなかった。
ふと、ノルカがよろめきながら立ち上がる。
ソルカは、何をするのか?と、そんなノルカを目で追った。
ふらり、ふらりとその場から移動して。
ガタガタと、散らかされた物を退け……そこから何かを見つけて手に取ったノルカはそれを片手にソルカの元へ戻っていった。

それは、家畜をさばくための短刀。
ノルカは、何も言わずその短刀を鞘から抜いた。

「……ノルカ。何をしようとしてるの?」

「……何って。見てわかるっしょ。……もう、いっそのこと死んじまったほうがいいんだよ」

「……」

薄笑いを浮かべたノルカが鞘を投げ捨てる。
そのまま切先を自身の喉元へ突き立てた。
一気に喉を突こうとしているのだろう。
しかし、ソルカはそれを止めなかった。何故ならば、短刀を持つノルカの手がカタカタと小さく震えているからだ。

ノルカはゆっくりと力を込める。切先が薄皮を裂きプツリと突き刺さった。
ぷくりと溢れ出す赤い血は、つぅっと線になって鎖骨へと降りてゆく。
そこでノルカは短刀を力なく手放し、膝から崩れるように床に突っ伏した。

「ッ、クソッ……クソォッ!!……痛てぇ、怖ぇ……!!親父はきっともっと痛くて、怖かったはずだッ……!!」

「……」

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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