【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ35
周りを見渡すようにして放ったヤマの提案に、面々はザワザワとざわめく。
そんなざわめきを切るように、ヤマは一つため息をついたのだ。
「王よ…いや、父上。」
「ヤマ。この場でワシを父と呼ぶのは許さぬぞ」
「私は貴方を父として尊敬している。が、王として尊敬などしていない故にハッキリと言わせてもらう。何度かこの定例会出席しているが……この時間に意味なんてない。定例会なんて名ばかりの……老いぼれ連中の"楽しいお茶会"じゃないか」
ヤマの徴発的な意見に定例会の面々は怒りを顕にした。
しかしそれに動じることなくヤマは続ける。
「国はままごとじゃない。この体制で今まで大きな問題が起きなかったのは奇跡だ。続けるようならいつか痛い目を見るのは必至ですよ」
ヤマはそれだけを吐き捨て、大会議場を後にした。
王はそんなヤマの背を見届けて、一つため息をついた後彼を追いかけたのだ。
「ヤマ。……ヤマ!!待たんか!!」
「……なんでしょう父上」
コツン、と歩みを止めたヤマが冷徹なその瞳をくるりと向けた先には困惑気味の表情を浮かべた王の姿があった。
「……なんだあの態度は。大老達を怒らせて何がしたい?」
「私は私の意見を述べただけです。定例会は各々の意見を述べ合う場だと認識していますが?」
「……ヤマ、ワシは間違っているのか?」
シレッと言い放ったヤマに対し、王は拳を握りしめ悔しそうに視線を下げた後で小さく呟く。
「……父上。この国は変わるべきだ。貴方が優しいのは皆が承知のこと。だからこそもっと国の行く末を考えてほしいのです。今はいい、けど未来は?このまま行けば、国も民も私達も混乱する事になる。」
「……」
「今この国は他種族との交流や貿易によって入り乱れた状態だ。まず、移民の受け入れや、人間界との交流をある程度規制すべきだと私は思います。」
「……それは、こちら側が鎖国を表明すると言うことか?」
「そこまで。という訳ではありませんが……。私はどうも好かんのです」
王の問いかけに、ヤマは少しだけ顔を曇らせた。
「好かない?それは……」
「いえ、これは私の感覚的な意見です。……月都の民の長だというあの女族長。」
「……ツクヨミ殿の事か?物腰柔らかな貴婦人という印象しかないが」
「ええ。一度会談でお会いしましたが……。あの物腰の柔らかさがやけに不自然に感じたのは私だけでしょうか?」
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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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