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【ノルソル過去編】善良な悪人達の話 ページ12

「……なっ」

見たこともないその生き物に、二人は言葉を失った。しかし、動揺するノルカとソルカに反してその子供は無表情のままグイグイと裾を引っ張り続けるのだ。
決して言葉は発さず、その力は更に強まる。

「な、なんだよ!こいつ!!」

ノルカはカッとなって怒鳴る。が、それを止めたのはソルカだった。

「待ってよノルカ。……この子、ついて来いって言いたいんじゃ」

そう。その子供の素振りは、まるで自分について来いと言わんばかりだ。

「はぁ!?こんな得体の知れねぇガキについていけるかよ!」

「でも、ここは僕達にとって未知の領域だ。この子は何か知っているかもしれないし…。もしかしたら、この子が住む集落か何かがあるのかもしれないよ?」

ソルカの言葉に、ノルカはぴくりと眉を上げた後でしぶしぶ子供に視線を向けた。
子供は相変わらず無表情で、なにを考えているのか分からない瞳で見上げている。


結局。その子供の後を数歩遅れてついて行く形に収まったノルカとソルカ。永遠に続くかのように錯覚される荒廃した大地を、子供は時折二人を確認するかのように立ち止まり、振り向いてはまた歩き出す。
口がきけないのだろうか、その子供が言葉を発することは無かった。
しばらく歩いたその先。廃棄物の山以外何も無いその景色の中に、ポツリ。と山ではないであろう影が現れた。
澱んだ空気のせいでハッキリしなかったそれは、徐々にその姿を露にしていく。

それは、小さな集落だった。
しかし、ノルカとソルカはその集落に絶句する。

ボロボロの布切れを、縫い合わせたのであろう大きな布を。枯れ果てた木材で張っただけのテントのようなものが点々としている。

家とは言い難いそれがまるで身を寄せ合うように密集したその集落。
勿論。ノルカとソルカにとって、そんな光景は初めて見るものだった。
子供は、スタスタと何の迷いもなくその集落の中にある一つのテントへと入ってゆく。
しばらくして連れてきたのは、子供と同じ容姿を持つ見てわかるほどに年老いた老人だった。

「……おやおや、客人とは珍しい」

老人は、子供と杖に支えられながら。ヨロヨロと驚愕するノルカとソルカの元へやってきた。
老人は、そんな二人を目の前にピタリと止まるとジィっとその格好を見つめ、なるほどなぁ。と独りごちた。

「その身なりを見る限り……ヌシらは月都の住人。かのぅ」

ため息混じりにそう呟いた老人は、その赤目を寂しげに細めたのだった。

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story101(プロフ) - はい!ぼんさんの作品、正座待機でお待ちしております。 (2016年12月25日 22時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - story101さん» こんばんわ!お久しぶりです^^*更新停滞申し訳ございません(><)ふぉお!そう言って頂けると喜びの舞を披露しちゃいますよ!!←怖い有難うございます!これからもよろしくお願いします(。_。*) (2016年12月25日 22時) (レス) id: c56038631b (このIDを非表示/違反報告)
story101(プロフ) - こんばんはまっくろワッサンです。私エンマ大王。特、にぼんさんの作品のエンマ大王の大ファンです。面白いのひと言に尽きるというか (2016年12月25日 21時) (レス) id: 8b873bc734 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - ぼんさん» いえいえ、それほどでも(照)(((はい!もちろんです!応援してます!! (2016年10月29日 0時) (レス) id: a285e02c29 (このIDを非表示/違反報告)
ぼん(プロフ) - こたつさん» こんばんわ!おおっ!流石こたつさん^^*仕事が早いでウィス・:*+.(( °ω° ))/.:+読み返して下さってありがとうございますー!これからも頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年10月28日 1時) (レス) id: 5b2ccc4cc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月5日 4時

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