四話目 ページ5
『……綺麗。』
その言葉しか出てこなかった。
真っ白な髪の毛は、さらさらで赤い目はキラキラと輝いている。
『…髪の毛、触ってみてもいい?』
あまりにもさらさらで触ってみたくなった。
…好奇心には勝てない。
「っあ、いいですよ!」
綺麗、と言われて固まっていたこの子ははっ、と気づき私の問いに答えてくれた。
『ありがとう、…わぁ、やっぱりさらさら…』
「そうですか?」
『うん、さらさら。…羨ましいよ。』
羨ましい、と私が呟くと
「羨ましい、って…神様の髪の毛もさらさらに見えますけど…」
『私は全然さらさらじゃないよ〜?』
「そうですか…?」
『本当、綺麗な髪の毛に綺麗な目だね。』
「っえ、ありがとう、ございます!」
さっきから様子が少し変だ。
容姿を褒めると驚いたり、固まったり。
もしかして、みんなと違う見た目だから生贄に選ばれたとか。…よくある話だ。
『…生贄に出された理由って、これ?』
「…はい、」
そう問うと、小さく呟いた。
『…そっか、…ねぇ、君は村に帰りたい?』
「帰りたいです。でも、帰りたくないです。」
帰りたいけど帰りたくない、と。
『それはどうして?』
「お母さんと友達に会いたい、です。でも、」
『でも?』
村の人が怖いから、とかかな…。
「村の人が怖いんです。それに、神様と離れたら寂しいです…。」
『…そうだよね、…寂しい?』
そんなに懐かれてたの?私。
「はい、だって神様優しくて素敵な方じゃないですか!!」
『…あ、ありがとう?』
嬉しいけどびっくりした。
こんなにも懐かれてるなんて思ってなかったから。
「…あ、神様名前なんて言うんですか?」
当然の質問に困惑しながらも私は答えた。
『私は愛染 A。気軽にAって呼んでね!』
「Aさん!僕は、相川 真冬です!」
『真冬くんね、わかった。』
一気に仲良くなった感じが凄いんだけど(*˙ᵕ˙ *)
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