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私と治は2年前に合コンで知り合った。
二十歳になりたてのあの時はまだ、酒が今ほど好きではなかったので私は専ら烏龍茶ばかりを飲んでいた。
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「およ、自分も酒飲めへんの？」
たばこの煙でやや曇った騒々しい居酒屋の個室空間。そう言ってさりげなく隣に座って来たのが治で、体が大きくて派手な顔立ちのその外見は初めは少し怖いと思っていた。酒が飲めないという事実が、そんな彼の第一印象をその後すぐに払拭したのだけれど。
「あ……飲めない訳ではないんですけど、すぐ酔っ払っちゃうから。」
「ふぅん、そっか」
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座卓に肘をついて一瞬どこか違う方を見つめた治は、次の瞬間ふとニヤッと微笑んで言ったのだった。
「俺なぁ、お酒弱い女の子タイプやねん」
「…へえー」
「ちょ…、棒読みやめてや…！」
本当は、心臓が飛び出たかと思うほどドキッとした。あの時の治の顔は今でも忘れられない。
よくよく考えてみれば単なる思い込みに過ぎないかもしれないが、その顔はまるで「お前は俺にふさわしい」とでも言われたような気分だった。
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そんな出会い方をしてから2年が経ち、なんやかんやあって私は今やお酒を飲む事が楽しみな位には酒好きになったのだが、それでも尚、治が自分と一緒に居てくれる事をすごく不思議に思う時もある。
だって、彼の好きだった酒の弱い(今も弱いが、あの時に比べればだいぶ飲めるようになった)私はもうどこにもいないのに。
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「好きだから、は理由にならんの？」
だが、正直にその疑問を当の本人に打ち明けてみればこんな小っ恥ずかしい返事が返って来たので、もう余計な事は考えないようにしようと思っている。
「も、問題ないと思います」
「せやけど、断然昔のAの方が好きやで」
「さらっと傷つく事いうじゃんか…」
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治はいつもよく分からない。だけど、この距離感でもしかしたら正解なのかもしれない。
この距離感を保っているからこそ、私も彼と一緒に居続けられるのだと思う。
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兎海(プロフ) - 壬生桜さん» 嬉しいです！読んでくださりありがとうございます＾＾ (2020年7月19日 23時) (
レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
壬生桜(プロフ) - あぁ。好き！こういう治いい！ますます治に惚れてまう！ (2020年7月17日 3時) (レス) id: fa982b1939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎海 | 作成日時：2020年7月2日 23時
