【番外編】麗しき姫

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　『....ごめん、何の話？』







　 困った顔でしゃがみこむヤムライハに聞いた。








　『私、姫様もジャーファルさんも大好きなんです』


　『？...うん、私もヤムライハの事好きだよ』


　『....そうじゃなくて』


　『え？』








　 話が通じず混乱する。








　『大好きな人同士が恋人同士になったんです』


　『うん』


　『私得過ぎます』


　『うん？』








　 軽く気持ちが暴走するヤムライハ







　『姫様が幸せそうな顔をされると、私も幸せなんです』


　『うん』


　『ジャーファルさんが笑うと、私も幸せなんです』


　『...うん』


　『二人が幸せそうだと、私も幸せです』


　『....』








　 淡々と話し出す彼女に、

　 彼はただただ耳を傾けた。








　『私、正直、』


　『....』


　『ジャーファルさんと姫様がまだ恋人同士じゃない時、』


　『うん』


　『姫様泣かせてばっかりで、何やってんだって思ってました』


　『うん』


　『でも、恋人同士になった時は、本当に良かったって、』








　 ヤムライハの目には、薄っすら涙の膜が。








　『姫様、いつも私に話してくれていたんです、二人の事』


　『....』


　『今日は手を繋いだの、今日は沢山話したのって』


　『....』


　『愛おしかったですよ、とっても』








　 大好きな人から、大好きな人の話。

　






　『大好きなんです、姫様は。ジャーファルさんの事』








　 幸せな二人を見る事が、何よりも幸せな彼女。

　 彼女の願いは一つだけ。








　『姫様を目一杯幸せにして欲しいです』








　『.....うん』









　 彼は優しく、彼女の頭を撫でた。









　『また泣かせたら、ジャーファルさん溺死させます』


　『待って、恐怖過ぎる』


　『当たり前です』


　『怖い』








　 彼に負けないくらい姫様が大好きな彼女。

　 それくらいじゃないとわりに合わないと。








　『私は生まれ変わったら、二人の間に生まれたいです』


　『あはは、何それ』


　『だって二人から愛を受けるんですよ、最高』


　『ヤムライハはヤムライハのままがいいな』


　『.....はい』


　『うん』


　





　 まるで小さい子を愛でるように、

　 彼女を抱き締めた。








　『話してくれてありがとう、ヤムライハ』








　 より一層強く抱き締めた。

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