【番外編】麗しき姫

言葉って、なに？ ページ17

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　『ねえねえ姫様』


　「なにピスティ」









　 木陰で、花でも摘みながら


　 静かな静かな中庭に声が響いた。









　『結婚のプロポーズって、何て言われたの？』









　 温かい、爽やかな風が一筋、二筋。



　 花の香りも、一層強さが増した。









　「.....え、何いきなり」


　『そういえば聞いてなかったなって！』


　「....本当にそういう話が好きね、貴女は」


　『ふっふー！』


　







　 小柄な体がAの方へ向いて、


　 頬杖まで付いて。






　 そんな仕草も可愛らしいと、


　 彼女は思った。









　「プロポーズ....ねえ....うーん」









　 くすり、小さく優雅に笑う。





　 それから、









　「そんな感じの言葉、沢山言われたから」









　
　 伏し目がちの瞳に、


　 その長い睫毛が真っ直ぐに伸びて。









　「どれがプロポーズの言葉か、わからないわ」









　 それもまた、


　 美しいほどに綺麗に笑うのだ。









　『えー！じゃあ言われてないの！？』


　「そんな事はないだろうけどね」


　『もー！ジャーファルさん何やってんだよー！！』


　「はは.....」









　 何か悔しそうにするピスティだが、



　 Aは少々苦笑。









　「でも、そんな言葉が無くても素敵だったよ」









　 また、その微笑で、









　「その時は、もう涙が出てしまう程嬉しくてね」









　 語るその姿は、


　 本当に、本当に美しく、









　「彼が、とても愛おしかった」









　 可憐だった。









　 そんな、彼女らの幸せなお話は、



　
　 今から少し前に遡る事になります...＿＿＿＿＿＿＿

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