【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰漆. 思慕 ページ28

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【芥川 視点】








白鯨の上。


僕らは、ギルドの長を倒したのだ。






芥「…人虎、何故あの人が此処にいるのだ」

敦「あの人？…Aさんのことか？」

芥「そうに決まっているだろう」





あの人は、人質か。

…だがそれにしても、先刻の彼の表情は不思議だった。




何があの人に、あんな表情をさせるのか。

それは、ギルドの長なのか。






敦「…Aさんは、ギルドの団長補佐だったんだ」

芥「成程、そう云う訳か」


敦「…何が？」

芥「貴様には関係の無いこと、っ」





突然、白鯨が揺れる。




敦「っ、なんで？！解除したはずなのに…！」
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芥「貸せ」




制御端末の画面を叩くが、びくともしない。

…ハッキングか。



端末を捨て、人虎についてくるよう促す。





敦「っどこに…」

芥「操縦室に決まっているだろう。そんなことも分からぬか」

敦「…悪かったな」





操縦室に着いても、恐らく操縦は効かないのだろう。




…先刻、あの人の僕に向けた合図。

あれは、『人虎と共にこの場を離れろ』というものだった。



あの人も、遥かに先を見据えているのだろう。

…そう、太宰さんのように。





敦「っ、こっちでも操縦できない！！」




あの人は今、まだあの場にいるだろうか。

それとももう、とっくに脱出したのだろうか。




…あの人の目に、僕が再び映る時は来るだろうか。





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