【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

玖拾弐. 謎の男 ページ13

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【中也 視点】








中「うちの組織だけで百を超える死者が出ています。
…癪ですが、太宰の木偶(でく)が呪いを無効化していなければ、10倍は被害が出ていたかと」


鴎「ボスとして、先代に面目が立たないね」






ドアが開き、着物の女性が入ってくる。



探偵社に囚われていた尾崎幹部だ。






鴎「紅葉くん」


尾「太宰の奴に役立たずの捕虜をおいても世話代がかさむと探偵社を追い出されましてのう…
宿泊費代わりに使番まで押し付けられたわ」





そう言って、彼女は茶封筒を取り出す。






尾「探偵社の社長から、茶会の誘いだそうじゃ」

鴎「ほう、…そう来たか」






茶会の誘い。

…茶会と言うより、密会の方が正しいのだろう。





中「…行くんですか」


鴎「折角の誘いを無下にするのも惜しいからね。それに」






中の紙を軽く一瞥して、首領はふっと口角を上げる。







鴎「例の彼も、来るかもしれないじゃないか」


中「…探偵社の、神楽ですか」






先日、俺が探偵社の拠点を訪れたのとほぼ同時刻に、首領に会いに来たという探偵社の社員だ。




建物内の全ての監視カメラを同時に破壊したにもかかわらず、彼の姿を見た者はいない。

したがって、怪我人もいないのである。




…そしてどうやら首領は、其奴をひどく気に入ったらしい。






尾「彼奴は頭の切れる男じゃ。
…穏やかな笑みの奥に、悪魔のような激しさを隠しておる」







神楽A。

探偵社の社員ということ以外、何の情報も無い男。



…彼は一体どんな人間なのだろうか。





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