【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰参. 金の意味 ページ24

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芥「…っ、何故、此処に……」


「僕は人質なんでね。その台詞はそのままそっくり返します」




フィ「…A、人虎を何処に」

「ちゃんといるではありませんか、貴方の後ろに」






その瞬間、敦くんが彼の首を絞める。






敦「何が強者だ！金や異能力は、地上の街を吹っ飛ばすためにあるんじゃない！
人の強さは、悲しみの淵で踠く人に差し伸べるためにあるんだ！！」



フィ「いかにもな答えだな！」







彼は敦くんを投げ飛ばす。







フィ「力は弱者を助けるためにあるのではない。何故なら金儲けの本質は弱者からの搾取だからだ」


敦「っそのために踏み潰される命は、見ないふりか」


フィ「踏み潰される弱者というのは、例えば昔の君のような？」







…彼の過去のことは調べた。


確かに彼の受けた仕打ちは、かなり酷いものだった。





その時、機体がぐらりと揺れる。





フィ「速度が落ちて、落下コースに入ったか。激突まであと十数分だな」





僕はフィッツジェラルドの背後に立ち、倒れている彼らに向けて小さく合図する。






芥「っふふ、理解した」

フィ「何っ」





芥川くんと敦くんが、降下してゆく。


フィッツジェラルドは駆け寄り、床に開いた穴を見つめている。







フィ「っ待て！…逃げた、だと？」

「逃げられたようですね」


フィ「…A、」






彼は振り向いて、僕を見つめる。


その目は、どこか悲しげで、苦しげだった。



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