【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

玖拾. 手紙の中身 ページ11

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【太宰 視点】









太「…『現在、ギルドは白鯨という外からは見えない飛行船を拠点としている。
彼らは緊急プランを敢行し、横浜の街を消滅させるつもりだ。

そしてQを捕獲したのは恐らく、事務員を襲ったあの2人組。
厄介なのは中年男の方だ。』」





敦「…成程」



太「『僕はもうしばらく内情を視察します。
メールでも良かったのだけれど、何となく手紙を書きたい気分だったので。
社員の皆さんによろしくお伝えください』…だそうだよ」







…本当は、まだ続きがある。





黒い封筒の中に、不自然に貼られた黒い紙。

その中をちらりと覗くと、何やら別の紙が入っている。






『これを見るのが太宰くんでありますように』







丁寧な字で書かれたそれを、私はそっと引き抜いた。





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よくよく考えれば、あの夜君が僕を制止したのは正しかったのだろう。

恥ずかしい話だけど、僕は今ギルドの所に来たことをひどく後悔しています。





本当は、敦くんの代わりに僕が戻ろうかとも考えた。

だが、彼を逃がす方が探偵社にとって一番だ。





こんなにも愚かな弱音を吐いてしまうのを許してほしい。

…こんなこと、君にしか話せない。








あの時僕はかっこつけたことを言ったけれど、本当は君に甘えてしまいたかった。

でも僕は、かつての自分の過ちを清算しなければならない。



これは贖罪なのだから。






どうか、横浜の街を守ってほしい。




太宰くん、そっちは君に任せます。

…君を、信じている。






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