弐拾. 湯豆腐と思惑 ページ22
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【敦 視点】
「お嬢さん、お名前は?」
鏡「…泉鏡花、六ヶ月で三十五人ころした」
「へえ、鏡花ちゃん。年齢は?」
鏡「…十四」
「聞いたかい国木田くん、僕と十一も違う」
…現在、ここは橘堂。
湯豆腐を貪るように食べている少女と並んで、穏やかな表情でまた湯豆腐を食べているAさん。
国「…Aさん」
「ああいいよ、僕が払うから」
敦「え、」
「食べなよ、お腹空くよ?」
にっこり微笑んで、また湯豆腐に手をつけるAさん。
…そうは言われても、素直に食べられませんよ。
だって、高いのに。←
鏡「…両親が死んで孤独になった私を、ポートマフィアが拾った」
「……へえ」
何を考えているのかまったく読めない微笑みで、Aさんは彼女の話を聞いている。
「…ねえ国木田くん、彼女と二人だけにしてくれないかな」
国「Aさん、?!」
「大丈夫だって、変なことしないから」
ね、お願い、と国木田さんを見つめ、不敵に微笑む。
…今のは完全にただのダメ押しだ。
国「…敦、少し出るぞ」
敦「あ、はい!」
「ごめんね〜」
部屋の外に出て、国木田さんは廊下でピタリと止まる。
国「…娘を、軍警に引き渡せ。三十五人ごろしなら、まず死罪だ」
敦「でも…」
国「ならお前が助けるか?」
…たしかに、僕ひとりで彼女を助けられるとは思えない。
僕はそんなに強い人間じゃない。
……でも、太宰さんと、Aさんと、社の皆さんがいれば。
「国木田くーん、敦くーん」
国「…終わりましたか?」
「うん。…じゃあ敦くん、彼女をよろしくね」
敦「えっ、Aさん?!」
にこにこと笑いながら、彼女をずいと僕の前に立たせる。
「君がいちばん歳が近いだろう?だからよろしくね。よし、国木田くん帰ろっか」
国木田さんの腕をつかんで、ひらひらと手を振るその姿は、…何を考えているのだろうか。
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ソジン(プロフ) - 主人公イケメンすぎなんですけどお!?!?!?!??!? (2016年12月12日 23時) (レス) id: e77b47a418 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - とても面白いです!何回も読み直してます!更新頑張って下さい!! (2016年12月1日 8時) (レス) id: 20c2c83a96 (このIDを非表示/違反報告)
神風うどん(プロフ) - もっとblっぽくできますか?お願いします! (2016年11月6日 11時) (レス) id: 8dca592e3a (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とても面白いです。 (2016年11月3日 22時) (レス) id: 00dcb20401 (このIDを非表示/違反報告)
らいすぼーる(プロフ) - とても面白くてやばいですっ!!これからも応援してます!!! (2016年8月2日 20時) (レス) id: 5fceaeb50a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年7月17日 3時