拾玖. 思わぬ来客 ページ21
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【太宰 視点】
太「やあAくん、噂をすれば」
「太宰くん、こんなところにいたんだね。…ああ、先日はどうも」
飄々としている彼は、またいつもの穏やかな表情で芥川を見つめている。
芥「…何故ここが」
「毎度毎度行方不明になられては困るので。
…それはそうと、数年前にもお目にかかったことがあるのですが、覚えておいでですか?」
芥「…勿論」
「それは嬉しいですね」
にこやかに微笑む彼。
…だがその目に、今日は光がさしていない。
太「Aくん、僕を助けに来てくれたのかい?」
「まさか。様子を見に来ただけだよ」
太「ん?あれ?」
素晴らしいスマイルで私を見てから、すぐに芥川に目を向ける。
なるほど、今の興味はコイツに向いているのか。
芥「…貴方が、何故探偵社などに」
「ああ、僕の異能力はご存知で?」
芥「…ええ」
「警戒しないでくださいよ、案内も請わずに来てしまいましたが」
…警戒、というよりは、困惑だろう。
あれは完全な一目惚れしてるやつでしょ。芥川も乙女だねえ。
芥「…やつがれの羅生門も、複写したのか」
「あれは不可抗力ですよ。まあ、まだ使えるとは思いますが」
芥「貴方は、」
「…ああ、貴方っていうのやめませんか?なんかこう、くすぐったいので」
がしがしとその綺麗な髪を掻いて、視線を泳がすAくん。
…いやあ、美形は何しても様になるなあ。
芥「…では何と」
「お好きなように。太宰くんは何て呼んでたっけ」
太「Aくんって呼んでますう〜」
「だそうだよ」
あーあ、Aくんたら、無意識なんだよね。
…ほんと、人たらしというか何というか。
芥「では、…Aさんと」
「どうぞ。…そろそろ僕は失礼するよ。人目につくと面倒なので」
太「え、ちょっと、Aく〜ん」
ひらひらと手を振り、軽やかに歩いて出ていく彼。
そして私の目の前には、…こころなしか嬉しそうな芥川。
まあでも、今ので完全に落ちたね。
…Aの、手の中に。
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ソジン(プロフ) - 主人公イケメンすぎなんですけどお!?!?!?!??!? (2016年12月12日 23時) (レス) id: e77b47a418 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - とても面白いです!何回も読み直してます!更新頑張って下さい!! (2016年12月1日 8時) (レス) id: 20c2c83a96 (このIDを非表示/違反報告)
神風うどん(プロフ) - もっとblっぽくできますか?お願いします! (2016年11月6日 11時) (レス) id: 8dca592e3a (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とても面白いです。 (2016年11月3日 22時) (レス) id: 00dcb20401 (このIDを非表示/違反報告)
らいすぼーる(プロフ) - とても面白くてやばいですっ!!これからも応援してます!!! (2016年8月2日 20時) (レス) id: 5fceaeb50a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年7月17日 3時