【文スト】全身黒の、美しいひと。【男主】

拾伍. 各々の誇り 2 ページ17

.


【敦 視点】







国木田さんの運転の、車の中。


3人ともが、別々の人と電話を交わしたあと。





国「六蔵からだ。最近、旧国防軍施設に何者かが通信機を搬入したらしい」

敦「乱歩さんの推理も同じです」


太「私の電話は社長からだ。軍警からの連絡で、運転手が死んだ」






…あの、運転手さんが？！

でも、あの人は保護されていたんじゃ……？






太「部屋の中で突然苦しみだしてこと切れた。
死因は不明だが、手のひらに00という数字の刻印があったそうだよ」






手のひらに、数字の刻印。

…まさか、異能力で？





国「…一体何が起こってる……？」




太「あと、これは余談だけど…Aくんが異能を使う許可を求めたそうだよ」

国「…Aさんが？」

敦「わざわざ許可を…？」


太「ああ、敦くんはAくんの異能が何なのか知らなかったね」







…時を止める能力では、？



そのために、わざわざ許可をとる必要があるとは思えない。

でも、どうして？




太「彼の持つ異能は、時を止める能力じゃない。
…異能の複写さ」




複写？…どういうことなんだろう。





国「いつも眼帯をしているだろう。…あれは、複写をしないためだ」

太「彼は、右眼で見た異能力を瞬時に複写する。…社の人間の異能は殆ど使えるはずだよ。」


敦「…知らなかったです」





異能を複写しないために、眼帯をしていたのか。

…全く知らなかった。






太「…てことは、その数字の刻印もできるようになってるのかな……」






ぼそっと何かを呟いた太宰さんの言葉は、僕には聞き取れなかった。




.

拾陸. 彼の見る世界→←拾肆. 各々の誇り 1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す