quarante-six. ページ47
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- Ranpo side -
福「…乱歩、帰っていたのか」
乱「うん。おかえり〜」
…この家にはもう、Aは住んでいない。
探偵社に入ってすぐに彼は社の近くのアパートに引越した。
まあ、もともと荷物も少なかったし引越しは円滑に終わったんだけどね。
乱「…それにしても、」
福「何だ?」
乱「いやー、Aも随分と丸くなったなと」
あの日、初めて出会った時。
彼は、まるで血に飢えた獣のような目をしていた。
長い黒髪を靡かせ、その身を血に染めて。
社長が突然彼を連れてきた時は驚いたけど、その理由は何となく分かる気もする。
福「そうだな」
乱「…そこの部屋も、週に一度は荒らされたしね」
福「ああ、そんなこともあった」
彼が、暫く暮らしていた部屋。
何となくそのままにしてあるのには、特に理由はない。
…理由がないというより、その理由をうまく言葉に出来ないだけなのだけれど。
乱「…ねえ」
福「?」
乱「…Aは、何を捜しているんだと思う?」
縁側に腰掛け、月を見上げる。
福「さあな。ただ、」
乱「ただ?」
福「…それは彼にしか、分かり得ないだろうな」
大きく、丸い満月。
そういえば、Aがここに来た日も同じような月だったっけ。
…ねえA、君も同じ空を見ているのだろうか。
その景色は、どんな風に見えるのかな。
乱「…僕、お腹空いた」
福「わかった、用意する」
取り出しかけた眼鏡を、僕はそっと握りしめた。
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サングラス - 良かったです!!この作品読むのとても楽しいので嬉しいです!頑張ってください! (2016年10月21日 15時) (レス) id: d1c26ece08 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - やったあああああ!これからも更新、頑張ってください!! (2016年10月19日 23時) (レス) id: bed4eaded8 (このIDを非表示/違反報告)
Lan(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく拝見させて頂いているので、消さないで下さい。これからも楽しみにしてます。頑張って下さい。あ、返信いりませんよー (2016年10月19日 0時) (レス) id: 8a665e221e (このIDを非表示/違反報告)
こゑだ(プロフ) - 初コメです。これは自分が勝手に思っているだけですが、このサイトを利用している人はある程度性的知識が豊富だからフラグがどうとか言ってると思うんでフラグはいらないと思います。私もこの作品の更新を楽しみにしている内の1人なので消さずに頑張ってほしいです。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: e4866b2b81 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼致します。下の方が仰せられております通りだと思います。読者の私としてもフラグが必要な程の表現は無いかと思われます。最終的な判断は作者様となりますが私はこのまま更新を続けて頂けたらと考えております。お目汚し失礼致しました。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: 46877d2f51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年9月10日 8時