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quarante-et-un. ページ42

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福「A、どうかしたのか」

「…ああいや、星を見ていただけだよ」






夜中。


縁側に腰掛け、僕は星空を眺めていた。






福「部屋にいないようだったが、ここにいたのか」


「今日は新月だから、星がたくさん見える…アンタも見ていけば?」

福「…ではそうしよう」





すとん、と隣に彼が腰掛ける。

…彼、と心の中で呼び続けるのは、何と呼ぶべきかが分からないからだ。





福「…ここの暮らしにはもう慣れたか?」

「まあ、それなりに」





着物にも慣れたし、最近は布団の方が眠りやすくなったし。


完全に " 和 " の暮らしをしているような気がする。





福「A、君にこれを」






そう言って差し出される、小さめの箱。

御丁寧にラッピングまでされている。




とりあえず受け取って、少し観察する。





「…なぜ急に?」

福「開けてみるといい」





リボンを解き、紙を剥がして中を開けると。





「…これは、?」




何やら、黒い布地。


そっと手に取り、じろじろ眺める。





福「眼帯だ。これからは着けているといい」

「どういう意味、」


福「" 異能の複写 "は、いずれお前の身を滅ぼす…」


「…もしそうならば、僕はそれで本望だ」






眼帯をつける、ということは、…右眼を隠していろということだ。


僕は彼を、軽く睨む。





福「お前が良くても、私が困るのだ」


「は、?何でアンタが…」

福「私には、お前を守る義務がある」

「…自分の身くらい、自分で守るから。それに僕は、…」


福「私の、家族だ」





…思わず、息を呑む。


まっすぐに僕を射抜くような彼の眼差しが、その発言がいかに真剣かを物語っていた。



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サングラス - 良かったです!!この作品読むのとても楽しいので嬉しいです!頑張ってください! (2016年10月21日 15時) (レス) id: d1c26ece08 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - やったあああああ!これからも更新、頑張ってください!! (2016年10月19日 23時) (レス) id: bed4eaded8 (このIDを非表示/違反報告)
Lan(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく拝見させて頂いているので、消さないで下さい。これからも楽しみにしてます。頑張って下さい。あ、返信いりませんよー (2016年10月19日 0時) (レス) id: 8a665e221e (このIDを非表示/違反報告)
こゑだ(プロフ) - 初コメです。これは自分が勝手に思っているだけですが、このサイトを利用している人はある程度性的知識が豊富だからフラグがどうとか言ってると思うんでフラグはいらないと思います。私もこの作品の更新を楽しみにしている内の1人なので消さずに頑張ってほしいです。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: e4866b2b81 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼致します。下の方が仰せられております通りだと思います。読者の私としてもフラグが必要な程の表現は無いかと思われます。最終的な判断は作者様となりますが私はこのまま更新を続けて頂けたらと考えております。お目汚し失礼致しました。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: 46877d2f51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年9月10日 8時

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