【文スト】Petit morceau de la mémoire

trente-six. ページ37

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乱「僕の異能は『超推理』。君が何者かを推理してみせよう」

「…へえ、見せてよ」





不敵な笑みを浮かべ、目の前の彼を見つめる。




…たしかに、言われてみれば探偵らしい格好をしている。

ていうか、" 江戸川乱歩 "って、どこかで聞いたことがある気がするんだけど。






乱「…異能力、『超推理』！」





メガネを取り出し、装着する彼。



…視界が、何も変わらない？


どういうことだ。…これは、もしかして異能ではないのか、？






乱「…なるほどね」


「何が」

乱「…君、いくつか異能が使えるみたいだけど、君の異能は" 異能の複写 "だね？」

「…ご名答。へえ、分かるんだ」


乱「だけど、その先がわからない｣





わざとらしくため息をつく探偵。



…は？

いや、その先が分からないって、どういうことだよ。






「…探ってみろよ、探偵さん」


乱「物事には明るみにすべきものと、知らないままでいるべきものがあること、知ってる？」

「は？どういう意味、」

乱「そのままの意味さ。君の過去を探るのはやめた。」






んーん、と伸びをする男。

…コイツ、巫山戯ているのか？





「…アンタ、本当に分からねえのか？」

乱「どうして？」


「だって、…まあいいよ。なあ、アンタに名前が似てる奴と会ったこと、ある？」

乱「名前が似てる人？…さあ、どうだったかな」





思い出した。



たしかエドガーが言ってた奴だ、この男は。

…探偵勝負で、エドガーに勝った男。





「なあ、僕がここに住むの、嫌じゃないのか？」

乱「僕は別に構わないけど」

「へえ、そう」




切り落としたばかりの僕の髪の束を拾って、見つめている彼。

…そんなものに、何かあるとでも言うのだろうか。



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