trois. ページ4
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「" 少しの悲しみもない純粋な幸福なんて、めったにあるものではない "…か」
ある日、…やけに月が大きく見えたあの夜。
いつものように、ホコリをかぶった詩集を読んでいた。
「ハインリッヒ・ハイネ…明日はゲーテにしようかな…」
本当に明日が、来るのなら。
毎日毎日、そんなことばかり考えている。
「…何か、聞こえる」
物音に気が付き、そっと広間に行くと。
…家族が、僕以外の皆が見るも無惨な姿になっていた。
僕は、声も、涙さえも出なかった。
男『…君、名前は?』
目の前にいたのは、金髪の男。
その男は、僕と目線を合わせるように屈んで、じっと僕を見つめる。
「
男『ああ、そうさ』
「…僕のことも、ころさなくていいの?」
男『…家族がこんな姿になって、悲しくないのかい?』
「わからない…」
男『私はね、君を探していたんだよ』
「どうして?…僕、普通の人間なのに」
僕がそう言うと、男は僕の頭にそっと手を置く。
あたたかく、大きな手。
僕を見つめる、綺麗な色の瞳。
男『君が必要なんだ。私なら、君を虐げたりしない』
「…本当に?」
男『本当さ。私は君を大切にする』
初めて言われたその言葉に、心の奥の何かが熱くなったような気がした。
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サングラス - 良かったです!!この作品読むのとても楽しいので嬉しいです!頑張ってください! (2016年10月21日 15時) (レス) id: d1c26ece08 (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - やったあああああ!これからも更新、頑張ってください!! (2016年10月19日 23時) (レス) id: bed4eaded8 (このIDを非表示/違反報告)
Lan(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく拝見させて頂いているので、消さないで下さい。これからも楽しみにしてます。頑張って下さい。あ、返信いりませんよー (2016年10月19日 0時) (レス) id: 8a665e221e (このIDを非表示/違反報告)
こゑだ(プロフ) - 初コメです。これは自分が勝手に思っているだけですが、このサイトを利用している人はある程度性的知識が豊富だからフラグがどうとか言ってると思うんでフラグはいらないと思います。私もこの作品の更新を楽しみにしている内の1人なので消さずに頑張ってほしいです。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: e4866b2b81 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫 - 初コメ失礼致します。下の方が仰せられております通りだと思います。読者の私としてもフラグが必要な程の表現は無いかと思われます。最終的な判断は作者様となりますが私はこのまま更新を続けて頂けたらと考えております。お目汚し失礼致しました。 (2016年10月18日 19時) (レス) id: 46877d2f51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年9月10日 8時