【文スト】Petit morceau de la mémoire

vingt-neuf. ページ30

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人混みの中を、ゆっくりと歩く。

日本は久々だなあ。うん。




…そういえばフィッツジェラルドの奴、終わったらすぐに帰ってこいとか言ってたっけ。

まあいっか。←





「…お腹空いたな」




予想外に身体動かしちゃったし、…それに複写って疲れるんだよね。結構体力持ってかれるし。


ふらふらと、甘味処を見つけて中に入る。





店員『いらっしゃいませ、おひとりですか？』

「…んーと、あんみつと抹茶パフェ、あとだんご2本と大福ひとつ」

店員『は、はい…？』





ひとつあくびをして、出されたお茶をずずずと飲む。



…やっぱりおいしいねえ、日本の食べ物。

まだお茶しか飲んでないけど。





？「…隣、良いだろうか」

「？ああ、どうぞ」




そっか、結構混んでるもんなあ。




注文していたあんみつ達に手をつけながら、隣の人を見上げると。

…和服姿の、おじさん。





？「君は、」

「はい？」

？「君は、いつもここに？」

「いや、昨日この国に来たんだ。一応僕、日本人なんだけどね」





あ、だんご美味しい。

いや〜、やっぱり和菓子はいいよ。美味しい。





？「…君、外つ国から来たのか」

「外つ国…ああうん、旅の途中で」




大福を頬張り、またちらりとおじさんを見る。





？「君は、暗い目をしている」

「え、？」

？「何をそんなに悲観しているのだ」

「…おじさん、僕、怒るよ？」





顔色ひとつ変えずに、僕を見つめるおじさん。


…こいつ、何者？





？「君は何故、そんな生き方をする」

「何故って…それ以外の選択肢が無いからだけど」

？「私のところに来ないか」


「は？」

？「君に、違う選択肢を与えてやれる」

「…へえ、面白いこと言うね」




僕はお茶を飲み、隣の不思議な彼を見つめた。


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