【文スト】Petit morceau de la mémoire

vingt-trois. ページ24

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無駄に豪華な部屋。


無駄にふっかふかなソファーに埋もれながら、僕は目の前の人を軽く睨む。






フィ「…A、そんなに怖い顔をするな」

「今日は街に出る予定だったんだけど」





あからさまに不機嫌にしてみるけど、マイボス様は全く動じない。


…つまんない。





フィ「ハニー、街に出ては女性達と遊んでいるようだが」

「それが何？」

フィ「あまりにも多くの人間を魅了すると、私だけのモノに出来なくなってしまうだろう？それは困る」



「僕の体は皆のもので、僕の心は僕のもの。アンタは一部にしか過ぎないさ」

フィ「つれないな、ハニー」




僕の隣に腰掛け、肩に腕を回してくる。

なんかもう抵抗するのも面倒だ。





フィ「そういえば、ナサニエルとの訓練はどうだったんだい？」

「普通だよ。アイツ単調すぎじゃない？なんとかした方がいいよ」

フィ「手厳しいな」


「別に。つーか暑い。離れろ」





どうにか奴を引き剥がそうとするが、そうはさせてくれない。


…ああ、むかつく。





フィ「そうだハニー、次に行くとしたらどの国に行きたい？」

「国？…何、僕が言ったところに行くわけ？」

フィ「選択肢をあげよう。フランスか、中国か、日本か。どこがいい？」


「久々に日本に行きたい。あそこは食べ物が美味いから」





日本か。

僕の、生まれた国。




フィ「そう言うと思ったよ。用意をしておいてくれ」

「はいはい」





ため息をついて、彼の膝に頭を乗せる形で寝転がる。




「で、いつから行くわけ？」

フィ「明日だ」

「…は？」




僕の頭を撫でるコイツの顔を、僕はただ見上げるしかなかった。


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