【文スト】Petit morceau de la mémoire

seize. ページ17

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- Fitzgerald side -









人々の中で、ただ一人光り輝いているようなAの姿。



会場に入ってきた瞬間、全ての時間が止まったように、人々の視線は彼に向いた。





まあ、無理もない。

白いスーツを寸分の隙も無く着こなす、気品に溢れたその姿。



…女性達が放っておくはずがない。





「…さあ、お手を」






完璧なエスコートで、手を取った女性をフロアまで連れていく。



曲が流れ始めた瞬間、人々が息を呑む。




美しく、鮮やかな動き。


そこだけスポットライトが当たっているかのように輝いていて、…目が眩みそうだった。





女『あの方、見たことがない方だわ』

女『あのお嬢さん、あんなに綺麗な方と踊れるなんて羨ましい』




踊っていない人々の方からも、そんな声が聞こえてくる。




男『フィッツジェラルドさん、あの方とお知り合いなのですか？』

フィ「ええ。私の大切な部下です」

男『全ての女性をあの方に取られてしまいましたよ』

フィ「ははは、あとで挨拶をさせますね」

男『ええ、是非』




曲が終わり、Aは女性の手の甲にキスをする。


…その瞬間、一斉に囲まれるA。





女『次は私と踊ってくださらない？』

女『是非私と』


「…では、この曲を貴女と」





華麗に女性の手を取って、優雅に舞い始める。

…その全てが美しく、いつしか会場はAの独壇場となっていた。




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