【文スト】Petit morceau de la mémoire

quatorze. ページ15

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「ダンスパーティー？…僕が？」

部下『はい。聞かされていないんですか？』





ある日の夕方。


街にでも出ようかと思っていたその時、意外なことを聞かされた。





「初めて聞いたけど、…フランシスが決めたのか？」

部下『ええ、団長はもう会場に向かっています。…ご準備を』





ダンスパーティーってどうせあれだろ？


格式張った奴らしかいないやつだろ？…息が詰まりそうなやつ。





「…断れないわけ？」


部下『おそらく不可能です。今後の活動に支障が出るかと』

「それはどこの活動？組合？それとも会社？」

部下『貴方のです』





真剣な目で僕を見る部下の人。

…思わず、開きかけた口を閉じる。




「…わかったよ、五分で準備する。車を回しておいてくれ」

部下『御意に』




恭しく頭を下げ、彼は部屋を出ていく。




「…ったく、めんどくさ」




ため息をついて、小綺麗な服を身に付ける。

黒いシャツにグレーのベスト、白いスーツに同色の上着。




ハーフアップの髪に黒いリボンを付けて、香水をワンプッシュだけ。


袖口にカフスを付け、洒落たネクタイを締め。





…恥のない格好だ。


これならアイツも何も言わないだろう。



「…用意できたけど」




部屋を出て玄関に行くと、既に目の前に車が来ていた。


部下は、僕を見るなり少し目を見開く。





部下『…よくお似合いですよ』

「当たり前だ。出してくれ」




黒塗りの車に乗り込み、指輪を眺める。




…何が楽しくてダンスパーティーなど行かなければならないのだろうか。

面倒くさいったらありゃしない。



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