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福「A、仕事があるが頼めるか」
「構いませんよ」
手渡される資料の束に、軽く目を通す。
「…いつもの方の警護ですね」
福「ああ。だが今回は少し事情があってな」
「成程。承知しました」
今日の仕事は、政府の要人の警護だ。
何やら今日は催物に参加するらしく、その護衛をしてほしいとのことらしい。
「…これはお返ししますね」
福「ああ」
僕が資料を読むのはだいたい30秒程度。
…だいぶ昔にそのように訓練したために、なかなかその癖が抜けないのである。
自嘲気味にそっと笑うと、社長は怪訝そうに僕の顔を覗く。
福「どうかしたのか」
「いえ、何も。では失礼します」
社長室を出て、僕は机に置いてある鞄を掴み、帽子を被る。
敦「…Aさん、出かけるんですか?」
「うん、仕事でね。夕方頃には戻れると思う」
敦「分かりました!」
社を出て、僕はひとつ深呼吸をする。
もう慣れたものだが、いつもいつも僕ばかりが警護などの仕事はしている。
…嫌とは言わないけどさ。
一通りの体術と武術は身についてるし、社長から一本取ったことだって何回もある。
その時は嬉しかったなあ、などと思い出しながら僕は歩く。
スマホを取り出し、電話をかける。
「武装探偵社の神楽です。今からお迎えにあがりますが、よろしいでしょうか」
聞こえてくる返事に耳を傾けながら、僕は自分の車に乗りこんだ。
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春海。・:+°(プロフ) - ゆきめさん» コメントありがとうございます。完全な捏造です。遥か昔はこんなんだったら美味しいなっていうごくごく個人的な妄想ですので、不快な印象を与えてしまい申し訳ありません。現在は奥様一筋である姿を本編でそれとなく匂わせていたつもりでしたが、私の力不足です… (2017年6月8日 22時) (レス) id: 45c2ed30e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきめ - あれ、フィッツジェラルドさんって奥さんをほったらかしにして、誰かと不倫するようなゲス野郎でしたっけ? (2017年6月8日 21時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - はじめまして!毎日楽しく拝見しております。これからも頑張ってください! (2016年12月3日 0時) (レス) id: 6e056de376 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月2日 22時