彼と眼帯 ページ16
.
探偵社に入る直前の彼。
福沢さんに眼帯を貰った辺りの話。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「探偵さーん、そっちに僕の服行ってない?」
おもむろに襖が開け放たれる。
彼は特に悪びれもせず、ずかずかと中に入ってくる。
…ちなみに今の彼は、上半身が裸である。
乱「一寸、……あれ、その眼帯」
「…ああ、これ?あの人に貰った」
彼の右眼を覆う眼帯。
…この前、社長と一緒に買いに行ったから判る。
これを彼が付けているということは、探偵社の入社試験を受ける事になったのか。
乱「へえ、似合うじゃん」
「そりゃどーも」
乱「過ごし難くないの?」
視界の隅で、白い背中がちらちら動く。
「今はね。そのうち慣れる」
乱「ふうん。…ていうか、さっさと服着てくれない?」
「だから、僕の服そっちに行ってないかって先刻から聞いてんじゃん」
乱「知らないよ、それでも着てれば」
「うわ、…ってこれ僕のだ」
僕が投げたシャツを羽織って、彼は僕の前に座る。
乱「なに?」
「…僕のこと、どうして追い出さないの」
じっと僕を見つめる彼の左目は、相変わらず綺麗な色をしている。
…でも、どこか不安げに瞳が揺れている。
乱「君は優秀だよ。僕の異能がそう告げてる」
「…へえ、僕が優秀?」
乱「それに君を追い出したところで僕の得にはならないしね。聞きたいことはそれだけ?」
「うん。…あ、なんか眠くなってきた」
ふっと笑って、彼は寝転がる。
乱「ちょっと、ここで寝るつもり?」
「1時間くらい経ったら起こして」
ふと本に目を落とした瞬間に、整った息が聞こえてくる。
…本当に寝やがったな、この男。
その綺麗な寝顔を見ながら、僕は溜息をついた。
.
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←2.
126人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春海。・:+°(プロフ) - ゆきめさん» コメントありがとうございます。完全な捏造です。遥か昔はこんなんだったら美味しいなっていうごくごく個人的な妄想ですので、不快な印象を与えてしまい申し訳ありません。現在は奥様一筋である姿を本編でそれとなく匂わせていたつもりでしたが、私の力不足です… (2017年6月8日 22時) (レス) id: 45c2ed30e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきめ - あれ、フィッツジェラルドさんって奥さんをほったらかしにして、誰かと不倫するようなゲス野郎でしたっけ? (2017年6月8日 21時) (レス) id: 8d53b1880e (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - はじめまして!毎日楽しく拝見しております。これからも頑張ってください! (2016年12月3日 0時) (レス) id: 6e056de376 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月2日 22時