十五話 ページ16
太宰「此処からは…大人の時間だね」
紅葉「……っ、」
探偵社の医務室にて、太宰が口を開くと紅葉は顔を顰めた。
『ははっ………滑稽だね』
そんな空気を切り裂くように、黒岩の声が二人の耳に響く。
紅葉「……A?」
太宰「……珍しいじゃないか、君が探偵社に足を運ぶなんて……一体何が目的だ?」
『いやなに……姐さんを助けに来たのさ』
黒岩がそう云うと紅葉は驚いた表情を見せた。
太宰「どうせまた何か企んでるんだろう?」
『心外だなぁ……今回は本当に助けに来ただけだよ』
太宰は黒岩から目を逸らし、鼻を鳴らす。
黒岩はそんな太宰を見るとニヤリと笑い口を開いた。
『それに、一刻も早く姐さんをこの変態から引き剥がさないといけないしね!』
太宰「………変態って私のこと?」
黒岩は太宰の視線の先に目を向け、紅葉が居ることを確認した後口を開いた。
『おや、治くん以外に誰が居ると云うんだい?』
太宰「酷いなあ……」
黒岩は紅葉の方を見ると、ふわりと笑い問いかける。
『姐さん、怪我はまだ痛む?』
紅葉「……大丈夫じゃ」
『そっかぁ、なら…下に車を停めてあるから、其処まで歩こう』
紅葉「……嗚呼、」
太宰「……そうホイホイ返すわけ無いだろう?」
微笑みながらそう云う太宰の方をゆっくりと向いて、黒岩は口を開いた。
『御免けど、僕は今急いでるんだ』
黒岩は余裕そうな笑みを見せ、太宰に云う。
太宰「………はぁ…分かったよ。早く帰り給え、」
太宰が諦めたようにそう云うと、黒岩と紅葉は医務室を後にした。
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作成日時:2023年11月6日 20時