295.一晩の出来事。 ページ7
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夢か現か、そんな心地よい気分だった。熱くて、でも気持ちよくて、奥底から突き上げてくる衝撃に何度も声を出して鳴いた。伸ばした手を絡めとられては掴まっていろと首に回され、構ってと後ろから聞こえてくる声は違う人。息つく間もない行為に、夜は更けていった。
「痛…っ…。」
酷い頭痛に、腰に残る鈍痛。何が起きたのか、喉はカラカラで声も掠れ気味。気だるい体を起こそうとして動かせない事に気づく。
「…え、な…何で…!?」
私の腰に回された腕は蒙恬さんのもので、端正な寝顔のドアップ。男性にしては白くきめ細やかな肌。なぜか上半身裸で、慌てて目を逸らす。
「目が覚めたみたいだな」
「……王賁さん…?何で私の寝台に…?」
「ここは俺の天幕内。お前がいるのは俺の寝台だ」
「…どういうことですか?それに、王賁さんも上半身裸…、」
必死に記憶の糸を手繰り寄せてもところどころが空白で、靄がかかったように思い出すことが出来ない。
確か、蒙恬さんにお酒を一緒に飲もうと誘われ、その場に王賁さんもいて。途中で二人の口論が始まり、突然蒙恬さんにお酒を飲まされて…それから…。
「Aちゃん何か思い出した?俺と王賁とのこと」
「それは…その…。」
「蒙恬、Aに迫るな」
「一度抱いたぐらいで、もう自分のモノみたいな扱いやめてくれない?そういうことなら、俺にだってAちゃんを独占する権利あるんだからさ。まぁ、覚えてないのはちょっと悲しいけど」
「ならば、次は酔っていない時に抱くだけだ」
「同感。にしても、王賁って経験ないって言ってたわりに意外と…やるよね。なんか別人みたいだったし、相手がAちゃんだったから?」
「……黙れ」
王賁さんに睨まれた蒙恬さんは肩を竦め、怖いねぇと私を抱き締めようとするが、「いい加減出ていけ」と王賁さんがその手を払う。
一人状況が飲み込めない私は、蒙恬さんの腕から解放され体を起こした。起こしたまではいい、問題は目に飛び込んできた自分の体に残された無数の赤い印。
「どうなって、」
「説明は後だ。先ずは、濡れた髪と体を拭いてやろう」
手拭いを手に王賁さんが私の腕を掴み、「あー王賁だけズルい。俺も拭いてあげよっかな」と蒙恬さんまでも仲間に加わった。
296.決戦の十五日目まで。1→←294.重なる素肌。 王賁side
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bluemoon(プロフ) - イルカさん» コメントありがとうございます。推しが同じ読者様に会えて嬉しいです。花嫁本編では王騎将軍の救済ルートを避けてしまったので、中編集で幸せになっていただきたいと思います。王騎将軍とのお話久しぶりに書く気がします。まずは花嫁8ですね。頑張ります! (2020年12月27日 8時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 私は王騎将軍オシなのですっごく楽しみです!!シリーズ8も楽しみにしてます。 (2020年12月26日 23時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ノンさん» テストお疲れ様でした。アニメ楽しみですね!どんな声優さんが演じてくれるのか、情報を解禁されるのもワクワクしますね。私ももう少しでお仕事が長いお休みに入るので、更新頑張ります!作品に遊びに来ていただいてありがとうございます。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 執筆活動お疲れ様です!!無事にテストが終わりゆっくりできる時間が出来たので小説を読みに来ました!これからの展開が楽しみです!春にはキングダムのアニメ3期も再開されるので今からキングダム熱を上げています笑笑 (2020年12月21日 17時) (レス) id: a804f7d386 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Tomoyoさん» お久しぶりです。三連休ですか、いいですね。明日から私はまた仕事です…。時間を見つけてこれから更新頑張りたいと思います!コメントありがとうございます。 (2020年11月22日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2020年6月20日 15時