5日目-8- ページ47
「おいしかったぁ〜…」
用意された料理を全て食べ終え、私は布団にダイブした。
夕食の前から敷かれていた布団は、ふかふかで、お日様の香りがした。
「お前、見かけによらず結構食うんだな…」
私の食べっぷりに、左馬刻さんは若干圧倒されていたらしい。
「美味しいものは食べなきゃ損ですからね!」
そう言ってごろんとうつ伏せになると、途端に睡魔に襲われた。
「ねむ……」
「もう寝んのか?」
「あぶしっ」
左馬刻さんにどすんとのしかかられて、私はぺちゃんこになった。
「ちょ、左馬刻さん、重たい……!」
「お前が寝ようとしてんのが悪い」
背中や腋をこれでもかとくすぐられ、私は笑いながら必死に逃れようともがいた。
「ハハハハ、ちょ、ギブ、ギブですって、あははははは!!」
「どーだ、目ェ覚めたかよ」
背中を隠すために仰向けになると、私の上で馬乗りになった左馬刻さんと目が合う。
くすぐる手が止まり、急に静かになった。
見つめ合ったままの、静寂。
あ、これは___と思うと同時に、左馬刻さんに唇を重ねられた。
「ん、う………んッ…」
いつもの軽いキスではなく、深く、愛情を注ぎ込まれるようなそれは、確かな優しさを孕んでいた。
「ん、はぁっ………
………A」
唇を離した左馬刻さんが、私の頬を撫でながら名前を呼んだ。
「………はい、左馬刻さん」
緊張しながら返事をする。
鈍感な私でも、これから何をするか分かっているつもりだ。
___そして、それが全く嫌じゃなくて、
……むしろ、期待している自分がいることも、認めている。
「_____抱いてもいいか」
するり、と無防備だった私の右手に、左馬刻さんの左手が重なり、指を絡められた。
私だけを見つめる、熱の篭った、赤い瞳。
そこに、もう初めて会った日のような冷たさや悲しさは少しもない。
「…………はい」
私の返事を聞くとすぐに、左馬刻さんはキスを再開した。
2人の身体の熱が混ざり合って、愛情に溺れるように溶けてゆく。
____長い、ながい夜が、始まった。
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矢野いと(プロフ) - 百面相さん» こちらこそコメントして頂きありがとうございます。とても力になります!完結まであと少し、お付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2019年5月20日 17時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - ストーリー物で唯一楽しみにしている作品です!ニヤニヤしながら見させて頂いています…。素晴らしい作品を有難うございます! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 5fbb166415 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - ぱぴぷぺっぽー!さん» そう言ってもらえると嬉しいです。頑張ります! (2019年4月28日 9時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴぷぺっぽー! - おぁぁぁあ!!!!!凄い好み!この小説!!!更新頑張ってぇぇ!! (2019年4月24日 19時) (レス) id: 73667381e3 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!励みになります(^-^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢野いと | 作成日時:2019年4月9日 12時