5日目-7- ページ46
ぱちっと目を開けると、見慣れない天井が写った。
「………………?」
だるさを感じながら上体を起こそうとすると、誰かの手でおでこに力を加えられ、私は再び仰向けになる。
柔らかい感触が後頭部に伝わった。
左馬刻さんに真上から覗き込まれて、膝枕をしてもらっていることに気づく。
「……目ェ覚めたか。もうちょい寝てろよ」
左馬刻さんから発せられた心地よい低音で、徐々に頭がハッキリしてきた。
ここ、泊まる部屋だ。
私、お風呂でのぼせちゃって、気を失って……
___左馬刻さんが、ここまで運んでくれたのかな。
膝枕までしてもらっちゃって、申し訳ないな。
……………
………………………
…………………待って。
「左馬刻さん!!」
おでこを撫でてくれていた手をはねのけ、私は勢いよく起き上がった。
「あ"!?
オイ、まだ寝てろって………」
左馬刻さんに叱られるが、そんなことは耳に入らない。
「わた、私、お風呂で倒れてっ!!
…は、裸、だったのに!!!服、なんで、着て、あ、体も、拭いてなかっ………!!!!!」
「落、ち、着、けー」
「うわっ」
肩を掴まれてゆっくりと倒された。
視界は逆光の左馬刻さんこどアップでいっぱいになる。
「………俺様がていね〜いにやさし〜く体拭いてやって、浴衣着せてやったんだよ。
のぼせさせちまったから、反省の意も込めて、だ。
文句あんのか?」
「〜〜〜〜ッ!!!!」
……文句とか、そういうレベルじゃない。
なんかもう、恥ずかしさで昇天しそうだ。
「ハ〜〜〜〜〜〜〜」
色んな気持ちを乗せた長い溜息が口からこぼれ出す。
…が、ちゅ、と真上から軽く口付けを落とされて、それは止んだ。
「__別にベタベタ触りまくったわけじゃねぇし、ジロジロ見たわけでもねぇよ。
……つか、キレーな身体してんだから、あんま気にすんな」
「は、はひ……」
ぷしゅうっと身体から空気が抜けたような感じがした。
左馬刻さんの顔がまともに見れないので、両手で視界を覆う。
すると左馬刻さんの、声は穏やかでも、内容は決して穏やかでない話が聞こえた。
「___それに、眠ってる女を襲うシュミはねぇからな。
合意の上で恥ずかしがってんのを犯す方が、よっぽど滾るってモンだろ」
……私、これからどうなっちゃうんだろう。
薄々、この後のことを予見しつつも、私は自分の身を案じずにはいられないのだった。
288人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
矢野いと(プロフ) - 百面相さん» こちらこそコメントして頂きありがとうございます。とても力になります!完結まであと少し、お付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2019年5月20日 17時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - ストーリー物で唯一楽しみにしている作品です!ニヤニヤしながら見させて頂いています…。素晴らしい作品を有難うございます! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 5fbb166415 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - ぱぴぷぺっぽー!さん» そう言ってもらえると嬉しいです。頑張ります! (2019年4月28日 9時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴぷぺっぽー! - おぁぁぁあ!!!!!凄い好み!この小説!!!更新頑張ってぇぇ!! (2019年4月24日 19時) (レス) id: 73667381e3 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!励みになります(^-^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:矢野いと | 作成日時:2019年4月9日 12時