イレギュラー ページ47
TrueLabの最奥部にて
「─Alphys!」
項垂れて動かない彼女に近寄る。
名前を呼んでもAlphysは動かなかった。
代わりに大声を上げて謝り始めた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!
わ、私っ…私は……」
─話し掛けられる状態じゃない。
博士が言っていた事を思い出す。
これは確かに無理そうだ。
カタカタと身体を震わせるAlphysから
そっと離れ、少し遠くにいた博士の所へ戻った。
「あれ、もういいのかい?」
「彼女の事は仕方がないでしょう?
─被験者はどこにいるか分かりますか?」
博士は少しの間をおいて、言った。
「─僕らの後ろに。」
驚いて身体ごと振りかえろうとすると
背後から何かが被さってきた。
それは不気味な呼吸音を繰り返している。
「─A,Amalgamate…」
─融けた、被験者達だ。
大きな犬の形状のAmalgamateが
私の背に被さってきたんだ。
本来なら顔があるべく場所には
スプーンで抉ったように目も鼻も口も無い。
真っ黒な窪みがそこにあった。
それはバタバタと尻尾を揺らしている。
興奮、しているの?何に対して?
ハッと思い浮かんだのは原作の彼ら。
あの時は確か…
─持っていたポペトチッスプの匂いを
嗅ぎ付けてきたんじゃなかったっけ?
私は今食べ物は持っていない。
となると、誰が持っているのかは検討がつく。
「─博士。持ってる物を彼らに。」
隣には物凄く渋い顔の博士。
…どうせ仕事の合間とかに
食べようとしてたんだろうな。
資料に油がつくから止めろっての。
「A君…ぼ、僕には何の事だか…」
「しらばっくれないで下さい。
博士がSansに押しつけていた資料ですが…
私が持ってます。これ、返却しましょうか?」
持っていた荷物を奪い、中の資料を見せつける。
途端、博士の顔色は悪くなった。
凄い量だものね。これ。
「─あぁ、もう分かったよ…」
「初めからそうして下さい。」
渋々といった様子でAmalgamateに
ポペトチッスプをあげる博士。
後でぐちぐち言わなきゃいいんだけど。
「─オ、きゃぐサン…?」
突然聞こえた声。
掠れきったその声はチッスプを
与える犬の奥から聞こえていた。
─ヌルリ。
頬を何か濡れたものが撫でる。これは…尻尾?
Amalgamateならば一度に全員が喋るから
会話なんてできないのに。
それは徐々に私たちの方へ距離をつめた。
姿を現したのは知らない被験者だった。
「─彼女はCaterinaだよ。」
耳元で博士が囁く。
─Caterina。
そう呼ばれた彼女は口角を上げて笑った。
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零ノ花(プロフ) - コハクさん» 犬の呼吸音はトラウマだったな。怖かったわーあれ。 (2019年4月29日 16時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
コハク(プロフ) - Amalgamの話しはいつ聞いてもグロイと思う。犬はよくあんなの思い付いたよなぁ(失礼) (2019年4月29日 15時) (レス) id: 8996be223c (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - コハクさん» 会話割って失礼(_ _)。坂○忍さんに似てるよね。 (2019年4月29日 2時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
コハク(プロフ) - カマ猫さん» バカパン?あぁ、顔芸がヤバイ奴。(そうとしか認識してない矛盾の塊) (2019年4月28日 23時) (レス) id: 8996be223c (このIDを非表示/違反報告)
カマ猫 - コハクさん» 個人的にバカパンに色々と相談したい。いい答えくれそう。 (2019年4月27日 14時) (レス) id: 6d716ce25d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年3月14日 15時