EPISODE7-28 噴出エモーション！ ページ13
No side
マレウスを探しに行ったシルバーは、鏡舎を出てメインストリートまで来ていた。
「マレウス様！どこにいらっしゃるのです、マレウス様！」
必死に呼びかけるも、シルバーの声だけが反響するだけで、帰ってくるのは氷のように冷たい突風だけ。
だが、その突風を浴びてシルバーは目を丸くする。
「……なんだ？もう春だというのに、急に冷えてきたな。雪までちらついて……」
よく見ると周辺には雪が積もっていて、少し前まで見ていた光景が広がっている。
その中でグレート・セブンの像――自分が籍を置くディアソムニア寮の憧憬である茨の魔女の石像の前に、シルバーの捜し人がいた。
「……！マレウス様！」
彼は寮長だけにしか着られない意匠をあしらった寮服姿で、シルバーの呼びかけがようやく耳に届いたのか顔を上げた。
「……ん？ああ、シルバーか」
「ここにいらっしゃったのですね。お捜ししておりました。今日は父の送別会。どうかお別れの前にひと目だけでも、父に会って言葉をかけてやってただけませんか」
「……祝いの席はもう始まっているのか。僕も招待状を受け取った。旅立つリリアに祝福を贈らなくてはならないな。かつて茨の魔女は王宮のパーティーで、みなが驚く素晴らしい贈り物をしたという。ディアソムニアの長として、僕も茨の魔女に恥じぬ贈り物をしなくては」
「そんな……マレウス様がご参列くださるだけで父にとっては充分かと」
「ずっと考えていた。あいつにどんな贈り物をするべきか……」
そう言って、マレウスは再び沈黙する。
直後、冷たい北風が吹き、シルバーの身を震わせた。
「うっ……吹雪いてきた。マレウス様、今夜はやけに冷えます。早く寮へ戻りましょう」
「冷える？ああ、しまった。また僕は無意識に……」
シルバーの言葉に周囲を見たマレウスは、落ち込んだ後指を鳴らす。
瞬間、吹雪が止み、冷たい風も吹かなくなった。
(……吹雪が止まった？マレウス様がお怒りになると雷鳴が轟くことは谷でも有名だが……まさかこの吹雪も、マレウス様の感情の乱れによる影響？)
しかしそういくと、この周囲だけ雪が積もっている辻褄があう。
(マレウス様……表情には出していらっしゃらないが、やはり親父殿との別れがお辛いのだろうか。当然だ。マレウス様は俺よりもずっと長い時間を親父殿と過ごしてきた。俺など、たったの17年しか……)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ツイステ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブロッサム(プロフ) - 誤字報告ありがとうございます！ (6月1日 14時) (
レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 訂正があります。42ページの【森】が【盛り】になっていました。 (6月1日 13時) (レス) @page42 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - ああ、確かに似てますね！ (5月29日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 来ました！更新！メインストーリーを読んでいると、鬼滅の刃無限列車編みたいだなぁと思いました。 (5月29日 14時) (レス) @page35 id: 7e57969e52 (このIDを非表示/違反報告)
ブロッサム(プロフ) - 来ましたね！更新が再来週の月曜日になりますが、しばらくお待ちください。 (5月20日 16時) (レス) id: b52f0561ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2023年3月11日 2時
