EPISODE5-28 直送フルーティー！ ページ30
オンボロ寮に戻り、シェーンハイト先輩が厳選した食材を使った夕食を済ませた私たち。
だけど、エースやカリム先輩は物足りなさそうな顔をしていた。
「はぁ〜……夕食食い終わったけどなんか物足りなかったな」
「わかる。まずくはなかったけど、全体的に辛さのパンチと油のコクが足りねえって感じだ」
「野菜、鶏肉のささみ、フルールが中心のレシピだった。量は十分だと思ったが」
「『“痩せ”じゃなくて“引き締め”のためのメニュー』と言ってましたね」
「でも、野菜ばっかじゃ食った気がしねぇんだゾ。オレ様とAは大会に出ねぇんだから肉と揚げ物食わせろってんだ〜！」
「でも、ヘルシーで美味しかったわ。最近ちょっと太ったかもしれなかったから、あの量でもそれなりに満足……ん、んんっ」
そう言いかけた時、気管に違和感を感じ喉を鳴らした。
「おや？大丈夫かい？」
「はい……多分、乾燥でしょう。気にしないでください」
ここ最近は乾燥がひどかったし……後でエルダーフラワーのハーブコーディアルを飲もうかしら。
そう考えた時、ビーッ！と玄関のチャイムが鳴った。
「ン？こんな時間に誰だ？」
すっかり夜も更けたというのに、チャイムが鳴ったことに訝しみながら玄関のドアを開くと、そこにいたのは一体のゴーストだ。
「どちら様ですか？」
「お届け物でぇす。ポムフィオーレのエペル・フェルミエさんはこちらに？」
「はい。エペルは僕……です」
「サインお願いしまーす。大きなダンボールが10箱届いてます。玄関に置いてしまっても？」
「えっ、10箱も！？」
「はい。差出人は…あ、こちらもフェルミエさんです。ご実家からですかね？どれも重たいので、持ち運びに気を付けて」
宅配業者のゴーストがドドドドンッと林檎の絵が描かれたダンボールを置いた。
ああ、玄関が見えなくなった……。
「あっという間にダンボールでオンボロ寮の玄関が埋まったな……」
山のように積まれたダンボールを見て、エペルはうんざりしたような顔を浮かべた。
「うわあっ！絶対ばっちゃ……あ、おばあさまからだ。もう、電話で何度も送らなくていいって言ったのに！」
「なんだぁ？実家から絹の反物でも送ってきたのか？」
「いえ、そんなすごいものじゃない……かな？えと、僕の故郷は林檎が特産品で……。たぶんこれ全部、林檎ジュース……です」
「全部！？ジューススタンドでも開けそうな量じゃん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブロッサム(プロフ) - 絵が上手くないので難しいです！むしろ誰か描いてください……！ (2021年2月10日 17時) (
レス) id: e227af577a (このIDを非表示/違反報告)
ユノ - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2021年2月10日 15時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ブロッサム | 作成日時：2021年2月8日 16時
