�� ページ3
“Aさんはこの辺に住んでる人なの？”
“そうだよ。米花町の○○区に住んでるの”
コナンくんからの言葉に緩やかなペースで答えていきながら、メニューで何を食べようか、と品定めしていく。メニューにあるのは定番のもの、だけれど写真に写されたそれはどれもこれもおいしそうだ。どうしよう、何を食べようか悩むなあ。
“結構遠いね。あそこまで歩いてきてたの？”
“うん。私、タイラーとお散歩するのが好きだから”
“タイラー？”
“ごめん、教えるの忘れてたね。この子の名前なの”
そう返答して、私は足元に寝そべるタイラーを見下ろした。犬種はゴールデンレトリバー、多くの犬の中にも大型に分類されるけれど、彼自身の気性は静かでとても穏やかだ。その一方で確実に自らの使命を全うしているのだから、頼り甲斐のある私の愛犬である。
私が見下ろしたのに応じてテーブルの下で体を起こした彼は、ぽすん、と顎を膝の上に乗せてくる。ああもう本当に可愛い！となでなで一頻り溺愛したところで、再びタイラーはテーブルの下に身を潜めた。私が入店したところを見てなかったお客さん、きっとこんなところに犬がいたらびっくりするだろうなあ。
“お姉さんはタイラーが大好きなんだね”
“もちろん。私の唯一の家族だもの”
タイラーがいなかったなら、きっと私は今、こうして外で食事なんてしようとも思わなかったことだろう。ずっとずうっと、家の中で引きこもって独りぼっちでいたはずだ。
そうだ、サンドイッチを食べよう。サンドイッチと、コーヒー。デザートにショートケーキもいいな。…あ、コナンくんは何食べるんだろう。
“コナンくんは何が食べたい？”
“え、大丈夫だよ。自分の分は自分で払うから”
“そんなこと言わないで。案内してくれたお礼がしたいの”
うー、とコナンくんが困った顔をする。可愛いなあ、眉尻下げちゃって。不揃いな大きな眼鏡で尚更可愛く見える。小さく笑いながらよしよしとコナンくんの頭を撫でると、彼は片目を伏せてされるまま頭を撫でられてくれていた。ああ、もう、ほんと可愛いなあ！
うーん、と考え悩んだコナンくんは、またぽちぽちとスマホに入力する。
“じゃあ、サンドイッチと、オレンジジュース。”
“わかった。ありがとう、コナンくん”
“お礼を言うのは僕の方でしょ？”
“ううん。コナンくんが助けてくれなかったら、私はここに来れなかったもの”
“ありがとう”私は改めてお礼を言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺんぎん。 - すきです。こうゆう小説すごく和みます (2022年2月27日 8時) (
レス) @page15 id: d21f01a898 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ・ニコラス(プロフ) - とても好きです！続きが気になります！ (2021年7月4日 21時) (レス) id: c3f15b312b (このIDを非表示/違反報告)
杏 - なんだかすごく優しい小説でした。こうゆう小説がもっとあればいいのに。すごく好きです。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ餅(プロフ) - 明日も頑張ろう、と元気や癒しを頂きました。ありがとうございます。すごくすごく好きです。 (2018年3月5日 20時) (レス) id: c5e0d1202b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめさみ - とっても癒されます＾＾ (2018年2月19日 0時) (レス) id: ec209772b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
