ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

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それからはもう、完全に涼太君が手駒を取ってしまっていた。

「んっ、あの」「ちょっと」「……っまって」そんな熱い吐息の入り混じった声で反抗しても涼太君はひとつも耳に入れはしない。

最初こそ私の首筋にその整いすぎた顔を埋め込んで、吐息やかかる息で顔を赤くしてはぴーぴー言っていた私を楽しんでいたのだが。

それだけでは満足できなくなったのか、それとももっと欲しいという欲に負けたのか。涼太君は薄い唇で首筋にキスをし始めた。



「……ま、っ……ぁっ」



彼のピアスが微かに私の皮膚を撫でるのと同時、そんなピアスの感触だなんて忘れ去るほどの強い刺激が首筋に降り注ぐ。

ジュッ……という小さな水音。でも耳にははっきりと届いたその音に、私ははっきりと熱を帯びた声を上げてしまった。涼太君が唇の端を持ち上げて笑っているのがなんとなくわかった。



「手、完全に止まっちゃったっスね。……忙しいんじゃないの？」


「……りょ、涼太君のせいでしょ……って、ちょっ……噛みつか、ないで……んんっ」



涼太君が口を開けたことがわかり、力の抜けていた手で制止しようと出すが、彼は当然のようにそんな力のない腕などはものともしなかった。ぐっと掴まれる手首。抵抗するのは駄目だ、というように。

仕事していていいよ、なんて言っておいて、抵抗すればつなぎとめるのはどういう了見だろうか。

そんな憎まれ口をたたこうとしても、無駄。

がぶりと噛みつかれた首に、ショートしそうなほど熱の上がった私はもう、口を開ければ甘い声しか出ないのだ。


駄目、やめて、待って、なんとかそんな言葉を紡いでいくも、涼太君は完全無視だった。いや、「その言葉じゃない」と言いたげに、彼の熱や強引さが増していくだけだった、と言えるだろう。

首筋につけられた噛み痕やら、段々と増えていく赤い斑点に泣きそうになる。これから服をどうしようというよりかは、恥ずかしさからくる生理的な涙だ。

顔を隠そうとしてもそれすら許してくれない、性悪ゲスの恋人に、私はもう限界だった。



「……も、わかった……っからぁ……っ」



顔はゆでだこよりも真っ赤になっていて、逃げようともがいた腕も手もがっちりと彼の腕にとらえられて。涙もじわりとでてきては、足の力も失っていく。



完全に降参。白旗をあげるしかない。

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