ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

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「って、森山君、終電はっ？」


「……あ〜……今出発したみたいだ。」


「えぇっ！嘘、ごめんなさいっ！どうしよう、マネージャーさんに車出してもらえるか聞いてみるわ。」


先ほどまでの甘い雰囲気はいずこやら。

ぱっと俺の胸から離れた彼女は慌てたようにそう言っては携帯を取り出した。当たり前だが、その充電はなく、画面はいつまでたっても真っ暗。
数十秒後にようやくそのことを思い出したらしく、あっと声をあげてから申し訳なさそうに俺の方を振り向いた。


「充電、部屋に行けばできるから……っ、少しだけ待ってて」


あせあせと珍しく慌てる様子は可愛いが、目を回して倒れそうで心配だ。

現に荷物を取ろうとしてしゃがんでから立ち眩みを起こしたようで、手すりに手をついているし、手に持っていた携帯も力が入らないのか落としてしまったし。

ごめんなさい、と弱弱しく謝る彼女の口を人差し指でちょんと塞ぐ。これ以上彼女の体を酷使するわけにもいかない。



「ちょっとの間だけ、ごめんな」


「え」



彼女の膝裏に腕を差し入れ、腰をしっかりと持ってから抱き上げる。


ふらふらの彼女は抵抗もなく抱き上げられた。体はやっぱり細くなっていて、思ったよりもずっと軽かった。そう、心配になるくらいに。



「森山君、どうしたの……っ」



「おとなしくしていてくれ。……今日は俺に甘えて、いっぱい栄養とって、ゆっくり休んでください。いい？」



「…………ぅ、はい」



顔を赤らめた彼女が、静かに消沈して頷いた。

俺がこの部屋に泊まるにしても、部屋がなんだとかお祝いだケーキだと忙しそうにしそうなことは目に見えていたので釘を打つと、想像通りに「森山君の誕生日なのに……」といじけたような声が聞こえてくる。


俺はこうして彼女と一緒にいれることが幸せで、何より幸福なプレゼントだということをわかっていないらしい。


これは彼女が元気になったらちゃんとわからせる必要があるかもしれない。








「あの、ケーキもプレゼントも、バレンタインのチョコも後でになっちゃうんだけれど、これだけ言わせて、森山君。



お誕生日、おめでとう。生まれてきてくれて、本当にありがとう。

これからもずっと、大好きよ」









____Happy Birthday 2.13 END____

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