ただずっといちゃいちゃしてるだけ【黒子のバスケ】

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熱い瞼に、俺の掌を無理やり押し付け、頭を起き上がらせないように枕に頭を縫い付ける。

彼女はというと、熱で赤くなった顔に焦りの色を浮かべ、空いている手で空中をもがき始めた。
俺の手をどかそうとしているらしい。空中をただ猫のように掻いているだけだが、これ以上抵抗されるのも面倒だ。



「暴れんじゃねぇよ」



手だけでは飽き足らず、今にも暴れだしそうな足に座るようにまたがる。

さすがにこんなひょろい女の胴に俺の体重を乗せれば、速攻でぽっきりいってしまうのは見えていたので体重はかけずに膝で自分の体重の8割を支えた。

しかし、彼女の暴走を止めるには十分すぎるものだったのだろう。動き出しそうな足はぴたりと動作をやめる。



「ちょ……花宮君、私の上座ってます？」



俺の手で押さえつけられている瞼からは何も見えないのだろう。彼女はほんの少しかかった体重に困惑したように俺に問い詰めてきた。
いいから寝ろっつんてんのが聞こえねぇのか、この馬鹿は。ため息よりも先に口元を上げ、悪役非道の悪童の顔になる。




「これ以上お前が暴れられねぇようにな」


「……っどいてください」


「いーから寝ろっつってんだよ。手まで縛られてぇのか」


「……っ！？……〜〜〜っ」




何か喋ったら、有言実行されると思ったのだろう。
文句を口に出そうと口を開いたものの、すぐに閉じ、悔しそうに唇をぐっと噛んでいた。

どれだけ俺に組み敷かれるのが嫌なのだろうか。確かに彼女も俺のことが嫌いであることは百も承知の事実であるが、ここまで嫌がられるとは。
心底いやそうに唇をかみしめたあと、彼女は無理やり眠ろうと目を力いっぱい瞑る。

掌越しにわかるくらいに力が入っていて、それでは眠れねぇだろなんて呆れていると
数分後にはもう静かな寝息が聞こえてきていた。

意外と寝つきは良いようだ。もしかしたら先ほどの騒動でかなり体力を浪費して疲れてしまったのもあるかもしれないが。



若干苦しそうな呼吸に、少し不安定なリズムで胸が上下に揺れる。

掌の向こうにある瞼も、力の限りに瞑っていた時とは異なり、力が自然と抜け、彼女が寝たことを表していた。




「……よーやく、寝たのかよ。」




熱くなった額から手を離せば、少し辛そうに眉を寄せて眠る彼女の姿。

いつもより弱弱しくなり、あの正義の味方のツラをしていた面影の消えた彼女を目の前に、
俺は彼女の上から降りることなく黙って顔を見つめた。

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