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「そんなにハチャメチャな文章なのに、君の文は僕に強く訴えてくるんです。」
「……?」
突然、泣きそうな私の前で黒子さんは優しく微笑みながらも言い切った。
先ほどと同じ口調で、ゆっくりと、私よりも……泣きそうになりながら。
「文才はないかもしれない。描写も表現も下手かもしれない。
でも、君のその訴えは、物語は、文章は……僕をいつだって救う、『光の言葉』なんです。」
「……あ、あの?黒子さんってたまに恥ずかしいこと、真顔で言いますよね……?」
混乱しきった私が目を白黒させながらもうつむく。そうでもしなければ顔の熱がどんどん高くなるところを黒子さんに見られてしまうから。
こんな恥ずかしくも強く、真剣で、真っすぐな思いをぶつけられたら誰だって困惑するし恥ずかしいに決まっている。
耳までかぁっと赤に染まった私の体は、黒子さんの顔を視界に入れまいと縮こまっていった。
今、彼の顔を見たら心臓がおかしくなってしまいそうだ。
__が、そんな私を咎めるように。
「Aさん、顔を上げてください。……君の顔をちゃんと見て伝えたいんです」
そんな、いつもは冷静で声に出す言葉にすら色もつかない彼の声が、高い熱を含んで私を誘導する。
彼のそんな甘いお願いを聞いてしまっては、従うしかない。背くなんてできない。
そっと顔をあげれば、いつものポーカーフェイスを崩して、優しく笑う黒子さんの姿。
彼は私が顔をあげたことに満足気に目を細めると、一歩、二歩と静かに近づいて、真っ白い指先で私の肩に手を添えた。
「……えっ、あの。」
急に縮まった距離に思わず肩が跳ね上がる。
そりゃ、恋人らしいことしたいと散々手紙に綴ったが、まさかこんな急に行うなんて。
それに……想像したよりも黒子さんの熱っぽい目元とか、細いのにしっかりとした体が触れるだけで予想していないくらいに熱くなる。
童顔でかわいらしく紳士的な黒子さんばかりみていたからか、彼がこんなに色っぽいとは思わなかった。
黒子さんの空いている手が、そっと私の顎にかかる。
逃げ腰の私の体を、肩に置いてある手が引き寄せる。
目をつむることすらできなく固まってしまった私の瞳には、黒子さんの水色の瞳がゆっくりと焦らすように迫ってきていた。
「……キス、したいって書いたのは君ですよ?」
だから、ほら。
目をつむってください。
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
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