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彼女は押せ押せ肉食系お姫様で、むしろ「お姫様」なんて似合わないくらいいかつく行動的なことはよく知っている。
俺が1年間目にしてきた彼女はまさにそれ。「大好き大好き」と常に愛を言葉にして、態度でも表す。
その上無駄に頭がいいからか、策士的に誘導することもあるし、一途が一周回り他人を利用するようなことまでする女だ。頭がいいというのは最高に面倒くさい。
そんな彼女だからこそ、人を欺くのも得意ではあった。
お姫様と呼ばれ、赤司征十郎と同じ学年・同じ部活その上仲のいいとなる彼女にいじめの影もないのはそのような面が生かされているからであろう。
だが、この1年間彼女の隣に常にいて、一番近くで見ていた俺には些細な変化ですらわかる。彼女もたぶん俺にはガードが緩いところがあるためわかりやすくなっているのかもしれないが。
彼女が俺を話すときに、ふと視線を背けることや、
できるだけ俺に触らないようにしているような仕草がみてとれるのだ。
____この馬鹿、なに隠してんだ?
直球に聞いてもうまくかわされるのはわかっている。こいつはかわいくて天然で素直なよくいるお姫様なんかじゃないってことも。
コイツがそんな鈍感馬鹿で平々凡々な乙女ゲームの主人公みたいな性格だったらどんなに苦労しないことだろうか。
コイツの鋭さ、勘の良さ、頭のキレには両手を挙げて降参だ。ド直球に聞いて泣いて怒って解決できる少女漫画の世界にはなれないことがわかるくらいには、こいつは頭がいいから。
我ながら面倒くさい女を好きになったものだ、とやはり視線をどこか数センチずらしている彼女を見つめながら思う。
口元も目も完璧に微笑んでいるようにしか見えないその顔。声のトーンも何一つ変わりない。なんて面倒な天才。もっと可愛く悩みを顔に出せばいいものの。
「千尋先輩、もしかして口に合いませんでした?」
「あ、いや……。うまい」
「よかった」
むしろこちらのポーカーフェイスを見破ってきた。このクソ女。お前本当に頼むからもっと鈍感馬鹿になれよ。
ため息がでそうになるのをこらえてから彼女を見つめれば、そこにはいつものような完璧な笑みが浮かべられていた。
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鎖月零(プロフ) - Flower*さん» flower!ありがとうございます!!短編の夢主は同じ夢主で書くのが普通だということを今の今まで知らなくて……全員バラバラにしてしまいました(笑)私も短編の方が書きやすくて軽くかけるので楽しかったです!続編頑張ります! (2018年2月26日 18時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
Flower*(プロフ) - 1完結(?)おめでとうございます!甘々で読んでてドキドキしてしまいました(*ノωノ) それぞれのお話の夢主ちゃんたちも個性豊かで面白し、何より短編なので読みやすいです。やっぱり零すごい……。続編の方も首を長くして待ってます! (2018年2月24日 0時) (レス) id: 4d95f4e8a2 (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» めっちゃ楽しみにしてます!!! (2018年2月18日 18時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - 黛パフェさん» うそぉ……本当に恥ずかしいです(笑)規制かかる系の甘々はあまり得意分野ではないのですが、楽しんでいただけると幸いです……!甘くなるように頑張ります (2018年2月18日 18時) (レス) id: a33d034fdf (このIDを非表示/違反報告)
黛パフェ(プロフ) - 鎖月零さん» 今でもたまに見たりしますよ!黄瀬くんの好きですー!規制とかあまり気にしないタイプなので別のアカウントで見に行きますねー! (2018年2月18日 1時) (レス) id: d3f83fb575 (このIDを非表示/違反報告)
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