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「A？」
「ひっ…あぁ、焦凍」
「今から、爆豪とだよな」
少し、気まずい雰囲気になっていた。会場の整備で少し、開始時間が延びるという放送が流れていた。
「うん、そうだよ」
「また、泣いたのか？」
「…泣いてないよ。」
嘘は言ってない。泣きかけたけれど泣いてはいないのだ。多分。見つめてくる焦凍に一人、さらに気まずくなり、肩にかけていたタオルをぎゅっと握った。
「わたし、もういくね」
「待ってくれ。聞きたいことがある」
「え？なに？」
焦凍は、睨み付けるようにAを見ていた。急に機嫌が悪くなった様な感じがしたAは何かしただろうかと落としていた不安げに視線を上げた。
「それ、誰のだ？」
「…タオルなら、出久が貸してくれた」
「…そうか」
焦凍は、口をつぐんでAの近くまで来るとAの首にかけてあるタオルをするするととり自分のタオルを頭から被せた。
「え？」
「今から緑谷にあってくる。お前はコレ使え」
「うん、わかった。ありがとう」
満足そうに微笑んだ焦凍に心臓が早鐘を打ったがそれを無視するように早足で控え室に逃げ込んだ。
「な、にあれ。訳がわからない」
「おい、狐女。なんでこっち来てんだ」
「あ。ごめ…」
そこから、Aの記憶は酷く曖昧になっていた。気がつくと表彰台へと昇っている爆豪と焦凍と常闇がいた。
「Aちゃん、惜しかったねー」
「え？う、うん、そうだね。」
「いまから、皆でファミレスいこー！！」
閉会式も終わり、大きな声で全員に話しかける三奈にクラスメイトたちが集まっていくことになった。
「いかないのは爆豪と、早退したいいんちょだけかー」
「ま、いいじゃん？皆で楽しもうぜ」
「ね。写真撮ろうよ」
『いいね、いなかった二人はコラージュしてやろう』なんて、話ながらファミレスで実行した打ち上げもどきは終わり、生徒達は２日の休日に羽を伸ばしていた。
かくいうAはいつも通りに起きて体育祭のビデオを見ていた。
「ねぇ、おかあさん」
「なぁに？あ、ここのAかっこよかったわ！」
「ありがとう。私さ、焦凍に寄り添えるならって思ったの」
テーブルを片付けていたAの母、風架は手を止めて驚き目を見開いた。
「おかしいよね。病室で会ったきりなのに」
「記憶が混乱したのよ。あなた時々魘されるから」
「実は爆豪との対戦も覚えてない」
Aは再度母親の驚く顔を見ることになった。
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
