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タオルをもらったまま控え室を後にする。そのままクラスメイトがいる場所まで歩いていくと、会場では歓声が聞こえていた。
『期待に応えたいんだ…！！笑って答えられるよえな…カッコいい人に…なりたいんだ！』
「Aさん、大丈夫ですか？」
「Aちゃん、泣いてたの？」
「百ちゃん、梅雨ちゃん」
手に持っていたままのタオルを首にかけて空いていたふたりの間に腰をおろした。出久が、焦凍に延長戦を仕掛けている。
『彼女も、君を想って泣いてるんだぞ！意味が分からない程バカじゃないだろ！』
『…アイツは優しすぎるから』
『全力も出さないで一番になって完全否定なんてフザけるなって今は思ってる！！』
ほんとは、勝ちたいはずなのに出久は焦凍に叫んでいるように見えた。彼が口を開く度に衝撃を受けるようにはっとした顔になる焦凍は初めて会ったあの時の幼さを持っていた。
「寄り添えるならどんな形でもよかったのかもしれない」
「Aちゃん？」
「私が迷っている間に…」
俯いて試合を見るどころではないAの肩を抱いて引き寄せたのは隣に座っていた梅雨で百は強く握っていたAの手をほどき、握っていた。
「ごめん。ね。焦凍」
『A、緑谷、ありがとな』
「っ！？」
がばっと耳元で聞こえるはずのない彼の声に顔をあげた瞬間、出久と焦凍がそれぞれ個性を使うその時だった。今まで氷結で冷やされた空気が焔によって急に熱され、地響きを伴った爆風が会場を襲った。
「緑谷くん場外！轟くん、決勝進出！」
「あぁ、いかなきゃ…」
「ｹﾛ、Aちゃん、無理したらだめよ」
梅雨と百が控え室へ行くAの手を話す前にそう言った言葉に頷き、階段を下りていった。出久に謝る為に。
「やり過ぎだ、あんたもこの子も…あんた、コレ誉めちゃいけないよ」
「出久」
「A…ちゃん？」
ちらりと保健所を覗くとリカバリーガールとオールマイトがいた。勝ちたかった試合に相手を助けてと言ってしまったAは謝ろうとしずしずと出久の寝ているベットに近づいた。
「…あの、ごめん。」
「Aちゃん、僕は君に言われなくても同じ事を言ってたと思う」
「余計なお世話を考えて、でも、それ以上にただ、悔しくて。」
「確かに残念な結果だ、でもな、余計なお世話っていうのはヒーローの本質だ。前も言ったかな？」
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
