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「なにもできなかった…」
「狐葉 Aさん。お願いします」
「あ。はい」
よばれたAはそのまま係りの人についていき、会場に入った。対戦者は、拒架で、こちらをみて笑っていた。
「A」
「ここで、兄妹対決だ！！鏡音拒架！狐葉A！」
笑う拒架にほっとしたAは自分が緊張していたようで変に入っていた力が抜けると二回ほどその場で飛んだ。
「鏡の個性をもつ鏡音に対しどういう対応していくのか！」
「まぁ、一個しかないよな」
そんな、放送が遠くで聞こえる。Aはstartのコールと共に拒架の方へ走り、拳を振り上げた。
「体術なら、負ける気がしない。」
「私だって強くなった」
「なんだ、これ、ただのケンカじゃねぇか！」
ちらほらと客席からは、野次が聞こえるものの拒架の個性を知っている人たちはじぃっとただ、見ていた。ため息もつく間もないためAは出していた焔を自身に近づけた。
「！？」
「私の勝ち」
「さすが！狐葉A！ライン際にも焔を出していて、鏡音が近くの焔を避ける為に個性を使うと場外！なかなか、やるねぇ」
プレゼントマイクの声が聞こえたが実際確かに兄妹喧嘩に見えただろう。少し、反省しながら乱れた息を整え控え室に戻った。
「あ、出久」
「あ、Aちゃん。ごめん、早く来すぎたかな」
「出久、次は焦凍と？」
鬼気迫る顔で椅子に座り、がくがくと膝が笑う出久に思わず笑うと座る出久に目線を会わせるようにしゃがんだ。
「出久、焦凍を助けてあげて」
「え、どういうこと？」
「今日は特に、焦凍おかしいでしょ」
出久はなにも言わず先を促すようにこくりと頷きAを見た。
「お父さんが来てるの。まだ、自分の力だってわからないのかもしれない」
「どういうこと？」
「お父さんが嫌いなの。文字通り。炎を受け入れられなくて、囚われて自分が迷子なの」
ぐっと握った拳が白くなるほどAは力をいれていた。
「こんなこと、難しいのかもしれない。だけど」
「大丈夫。なんとなくだけど、Aちゃんがこんなに想ってるんだ。大丈夫に決まってる」
「出久」
「余計なお世話はヒーローの本質なんだ。Aちゃんも余計なお世話してるんだね」
思わず泣きそうになるAにおろおろすると、出久はAにタオルを差し出して会場に向かっていった。
「今回の体育祭 両者トップクラスの成績！！まさしく両雄並び立ち今！！緑谷VS轟！！start！！」
続→
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
