【おそ松さん】要らない子の分際で。 2人目

要らない子 73人 ページ28

松造「な、何を言っているんだ？A？」



松代「え、A？突然どうしたの？」





父さん母さん…動揺し過ぎだよ。


当然の事聞かれたからって、そんなに目、泳ぐかなぁ。




A「だって…私、




おそ松兄さんみたいに兄弟の事を考えられないし、




カラ松兄さんみたいに兄弟に優しくないし、




チョロ松兄さんみたいに兄弟をまとめられないし、




一松兄さんみたいに兄弟を想えないし、




十四松兄さんみたいに…兄弟に綺麗な笑顔見せられないし、




トド松兄さんみたいに兄弟の事分かってないし…」





はは、何言ってんだ、自分。

そんなの当然じゃないか。



兄さんよりも劣ってる事くらい、

とっくの昔から知ってるだろ？



あーそっか。

言ってもらいたいんだ。



そんな事ないよって、

そんなの違うよって。



惨めだなぁ…

憐れだなぁ？



人に認められたいなんて。

人に求められたいなんて。






松造「そんな事、聞くまでもないだろう」





そうだよね。





松代「そうよ、分かりきってる事じゃない」





やっぱり、私は要らない子、だね。








A「ご、ごめんね。2人共」





そう言って私が背を向けると、父さんに引き止められた。






松造「待て、A。何か勘違いしてないか？」



A「へ？」






松代「言葉尻だけ取って、落ち込んでない？」



A「…どういう、事？」





私が訳もわからず聞き返すと、2人はちょっと微笑んだ。






松造「わしが言ったのは、お前が言った事は違うと言うまでもないだろう、という事だ」



松代「生まれてこない方が良かった、なんて、ねぇ？」





A「…つまり？」






そう言うと、父さんと母さんは今度は、












これ以上ないくらいの満面の笑みで私を抱きしめてくれた。







松造「お前は生まれてこない方が良かったなんて絶対に無いぞ」




松代「そうよ、A。あなたは大切な子よ？」





A「父さん…かあ、さ…」








松造 松代「生まれてきてくれてありがとう」








言われた途端、どっと涙が溢れた。





A「あ…うぁあぁあ…あぁあああぁあ」






色んなものが涙と一緒に零れ落ちた。





辛かった事も苦しかった事も怖かった事も。





全部洗い流された気がした。






A「ありが…とぉ…父さ…母さ、ん…」









私が泣き止むまで、父さんと母さんはずっと抱きしめていてくれた。

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