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Aが月彦との生活に疑問を感じるようになったのは、二人だけで暮らすようになってから五十年ほど経った頃だった。

「そういえば…、何故、私たちの容姿はいつまで経っても、若いままなのでしょうか…?」
「若いまま…?そんなに時が経ったか?」
「はい。少なくとも、四十〜五十年は経っているかと」
「まだ二十年ほどではないか?」

月彦の言葉に考え込むようなそぶりを見せて、「それにしても、やはりまだ若いままです」と言ったAに月彦は穏やかに微笑んで、「そんなことは気にするな」とAの頭を撫でる。

「ですが…」
「私は、容姿がどうなろうと、過ごす時間がどれほどになろうと、お前と一緒にいられるだけで満足だ」

そこまで言われてしまえばAも返す言葉がなく、渋々「私もです」とうなづいてみせる。

「どうした、今日は。…よし、分かった。今日は特別な馳走を持ってきてやろう」

そう言って月彦が小屋から持ってきたのは、やたらと食欲をそそる甘い香りのする、不思議なお肉だった。

「なんだか、とっても良い香りです」
「そうだろう」

その格別に美味しいお肉を食べてから、なんだか身体が軽くなったような心地を感じたAは、月彦さまが特別にと振舞ってくださったから、あまりに嬉しくて身体まで軽く感じるのだ、となんとも能天気なことを考えていた。

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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時

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